お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

🔵映画「ユージュアル・サスペクツ」/(1995アメリカ)感想*一番のワルは誰?凝りに凝った騙しのテクニック*レビュー4.0点

ユージュアル・サスペクツ [Blu-ray] 【終わってみれば目から鱗】 「ユージュアル・サスペクツ」とは、「日常的な(あるいは、常連の)容疑者たち」という意味だそうです。なるほど、登場人物は皆、札付のワル。でも、一番のワルは誰?というのがこの映画の…

🔴本「百貨の魔法」/村山早紀(ポプラ社)*2018本屋大賞ノミネート作品その2*感想&レビュー4.3点

百貨の魔法 【人の善意が紡ぎ出す魔法の物語】 地域の歴史ある百貨店……たぶんどの都市にもそんな百貨店があるんだろうと思います。この小説を読んで、親に連れられて初めて百貨店に行った日のことを思い出しました(半世紀以上も前のことなのに、レストラン…

🔵映画「帰ってきたヒトラー」感想*モラルの限界スレスレをゆくヤバい映画*(2015ドイツ)レビュー4.2点

帰ってきたヒトラー [Blu-ray] 【コメディの皮を被ったシリアスな社会派映画】 ヒトラーをコメディにするなんて、なかなかできない荒業です(チャップリンの『独裁者/1940アメリカ』は、ホロコーストが本格化する前の映画です)。同名の原作小説がヒットし…

🔴本「崩れる脳を抱きしめて」/知念実希人(実業之日本社)〜2018本屋大賞ノミネート作品その1〜感想&レビュー4.3点

崩れる脳を抱きしめて 【純度の高い恋愛ミステリー】 2018年本屋大賞ノミネートの10作品が店頭に並んでいたので、数冊仕入れてまいりました。どれも結構分厚いので、1日1冊というわけにはいかないだろうと思いますが、頑張って読破して、できるだけ記憶が…

🔵映画「幸せはパリで」/(1969アメリカ)感想*たまには一息ついて映画でもいかがでしょう*レビュー4.1点

幸せはパリで [DVD] 【夢見る大人のためのお伽噺】 50年代のアイコンがオードリー・ヘップバーンなら、60年代のアイコンはカトリーヌ・ドヌーヴ。『ローマの休日』のヘプバーンと『シェルブールの雨傘』のドヌーヴの眩いばかりの美しさは、映画遺産級と言っ…

🔴本「残業税」/小前亮(光文社文庫)〜リアルなシミレーションのお仕事小説〜レビュー4.0点

残業税 (光文社文庫) 【リアルで真面目なお仕事小説】 国あるところ税あり、税あるところ脱税あり……これは神代の昔からの鉄則のようです。この小説は、誰もありがたいと思わない“税”と、その“税”の徴収に使命感を燃やす税務署職員にまつわるお話です。 同じ…

🔵映画「ブルックリン」感想*若い女性の究極の選択*(2015アイルランド,イギリス,カナダ)レビュー3.8点

ブルックリン [Blu-ray] 【若い女性の究極の選択】 美しい映像と魅力的な女優、この二つが揃えば恋愛映画は成立する、という見本のような映画です。これは女優シアーシャ・ローナンによる女性のための映画。男性の理解は得られなくても、女性の共感は得られ…

🔴本「たまうら〜玉占〜」感想*幸せに生きるための秘訣を教えてくれる*星乃あかり(小学館文庫)レビュー3.5点

たまうら: 玉占 (小学館文庫) 【幸せに生きるための秘訣】 分かりやすい文章で内容もライト、気楽な気分でサクサク読めるエンタメ時代小説(ジャンル的にはファンタジーでしょうか)。 この小説のターゲットはたぶん若年層だろうと思いますが、これを幸せに…

🔵映画「アフター・ウェディング」/(2006デンマーク)感想*静かで深くて繊細で日本人の感性にしっくりくる名画*レビュー4.3点

アフター・ウェディング スペシャル・エディション [DVD] 【日本人的感性を感じるデンマーク映画】 やっぱりデンマーク映画はいいですね。『バベットの晩餐会』や『ミフネ』と同じく、この映画も、静かで深くて繊細で、なんとなく日本人の感性にしっくりくる…

🔴本「影踏み鬼」/翔田寛(双葉文庫)感想*人間の業の深さを思い知らされる、ホラーに限りなく近い時代ミステリー*レビュー4.2点

新装版 影踏み鬼 (双葉文庫) 【鮮やかなどんでん返し】 切れ味鋭い文体、緻密な構成、意表を突く結末、どれをとってもハイレベルな、乱歩賞作家による表題作外4篇を収録した短編集。 人間の業の深さを思い知らされる、ホラーに限りなく近い時代ミステリーで…

🔵映画「西洋鏡」/(2000アメリカ,中国)感想*映画館という空間の雰囲気が好きな人にオススメ*レビュー4.2点

西洋鏡 [DVD] 【映画館で観てみたい映画】 まだ中国が辮髪と纏足の時代だった頃、中国で初めて映画を作った青年リウの物語。 この映画、中国版『ニュー・シネマ・パラダイス』というふれこみですが、確かにリウの無垢の映画愛は、トトやアルフレードと相通じ…

🔴本「木洩れ日に泳ぐ魚」/恩田陸(文春文庫)感想*男のズルさと女のしたたかさ*レビュー3.7点

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) 【男のズルさと女のしたたかさ】 主な登場人物は2人だけ。物語は、章ごとに男の視点と女の視点が入れ替わる形で進行します。 終始漂う不穏な空気に息苦しさを感じ、早く解放感を味わいたい一心でついつい頁を捲る手が早くなる…

🔵映画「オー!ゴッド」感想*信じる者は救われる*(1977アメリカ)レビュー4.2点

オー! ゴッド [DVD] 【信じる者は救われる】 古き良き時代の名残りを留める70年代のアメリカ(人)の宗教観を軽妙に描いた作品。荒唐無稽なストーリーながら、切り口がユニークで、語り口もユーモラスなので、宗教に全く関心がない人でも十分楽しめる映画か…

🔴本「賢者の贈りもの」感想*やっぱり人の感情に流行り廃りはない*O・ヘンリー(新潮文庫)レビュー4.2点

賢者の贈りもの: O・ヘンリー傑作選I (新潮文庫) 【手練の短編作家が描く人生の妙味】 泣き笑いのツボを外さない短編の名手O・ヘンリーの表題作外15の作品を集めた傑作短編集。 100年以上も前に書かれた作品なのに、古さを全く感じさせないところが凄いと思…

🔵映画「この森で、天使はバスを降りた」感想*良くも悪くもアメリカらしい作品*(1996アメリカ)レビュー4.1点

この森で、天使はバスを降りた [DVD] 【アメリカのヒューマニズム】 タイトルのイメージと違って、シリアスで濃厚なヒューマンドラマです。ストーリーはシンプルですが、なかなか吸引力のある映画だと思います。 感想を一言で言えば、“いかにもアメリカ的”と…

🔴本「あと少し、もう少し」感想*駅伝小説にハズレなし*瀬尾まいこ(新潮文庫)レビュー4.1点

あと少し、もう少し (新潮文庫) 【駅伝小説にハズレなし】 この小説、同じ駅伝小説の『風が強く吹いている/三浦しをん』や『チーム/堂場瞬一』に比べるとやや小粒な印象は受けますが、瀬尾作品ならではの“伸び伸び感”や“ほっこり感”が味わえて、これはこれ…

🔵映画「シラノ・ド・ベルジュラック」感想*恋に殉じた男の苦悩と矜持*(1990フランス)レビュー4.2点

シラノ・ド・ベルジュラック ジェラール・ドパルデュー Blu-ray 【恋に殉じた男の苦悩と矜持】 “男らしさとはなにか”と問われたら、私は即座に“痩せ我慢”と答えます。そのココロは……この映画を観ていただけたら分かります。 ……しかし、痩せ我慢の人生なんて…

🔴本「悟浄出立」感想*万城目学の文学への深い造詣と高邁な志が窺える逸品*万城目学(新潮文庫)レビュー4.3点

悟浄出立 (新潮文庫 ま 48-1) 【文学への高邁な志が伝わる短編集】 若い頃私が最も耽溺した日本の作家は、梶井基次郎と中島敦です。和漢洋に精通した夭折の天才、中島敦の格調高い文体に一瞬で魅了され、全集を探し回った記憶があります(結局、カネがなくて…

🔵映画「ライオン 25年目のただいま」感想*故郷を喪失した青年の自分探しの旅*(20016オーストラリア外)レビュー4.0点

LION /ライオン 25年目のただいま(字幕版) 【故郷を喪失した青年の自分探しの旅】 インドでは、毎年8万人もの子どもが行方不明になっているとか。いくらカオスの国だからって、あんまりの数字です。日銭を稼ぐために重労働をする子どもたちや汚れた身なりの…

🔴本「孤狼の血」感想*女性作家が描く任侠の世界に驚き*柚木裕子(角川文庫)レビュー4.1点

孤狼の血 (角川文庫) 【女性作家が描く任侠の世界】 映画『仁義なき戦い』を彷彿とさせる世界観。昭和の男たちが熱いです。しかし、こんな血湧き肉踊る作品をモノにしたのが女性作家だなんて……なによりそこに驚きます。 【あらすじ・感想・レビュー】 昭和63…

🔵映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」感想*リアリティ勝負のドキュメンタリー映画*(2008アメリカ)レビュー4.2点

ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢[DVD] 【若きダンサーたちの熱き闘い】 『コーラスライン』や『オール・ザット・ジャズ』など、ブロードウェイを舞台にした映画はいくつか観たことがありますが、この映画はそれらとは似て非なるもの…

🔴本「落ちぬ椿」感想*下町の人情が心に沁みる、日本人の感性にぴったりの物語*知野みさき(光文社時代小説文庫)レビュー4.2点

落ちぬ椿: 上絵師 律の似面絵帖 (光文社時代小説文庫) 【恋に仕事に一途な女職人シリーズの開幕】 『上絵師 律の似面絵帖』シリーズの第一作。作者はミネソタ大卒、バングーバー在住とか。そんなキャリアの人が、なんで時代小説なんでしょう。そのギャップに…

🔵映画「マルタのやさしい刺繍」感想*何かを始めるのに遅すぎるということはない*(2006スイス)レビュー4.1点

マルタのやさしい刺繍 [DVD] 【何かを始めるのに遅すぎるということはない】 女性のパワーはいくつになっても衰え知らずですね。恐れ入ります。この映画、スイス版『カレンダー・ガールズ』ってトコでしょうか。夢に向かって頑張るマルタと彼女を支える仲間…

🔴本「烏に単は似合わない」感想*この作家の物語の構築力や創造性は大したもの*阿部智里(文春文庫)レビュー3.8点

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫) 【気鋭の新人が描くパラレルワールド】 これって、ファンタジー?ミステリー?それとも王朝ロマン?……よく分かりませんが、まあ、人が烏に変身できることを除けば、ミステリアスな王朝ロマンってトコでしょ…

🔵映画「やかまし村の子どもたち」感想*“本当の豊かさとはなにか”を考えさせられる作品*(1986スウェーデン)レビュー4.1点

やかまし村のギフトボックス [DVD] 【メルヘンの世界】 季節は夏。野原一面の花、森を渡る鳥の囀り、雪解け水を湛えた湖……スウェーデンの自然ってホントに豊かですね。そんな美しい自然の中で無邪気に戯れる子どもたち。彼らがイタズラ好きの妖精のようにも…

🔴本「飛ぶ教室」感想*不遇の子どもたちに惜しみなく愛を注ぐ児童文学作家ケストナーならではの名作*E ・ケストナー(新潮文庫)レビュー4.5点

飛ぶ教室 (新潮文庫) 【騎士道精神を持った腕白小僧たち】 ケストナー原作の映画『点子ちゃんとアントン』と『ファミリー・ゲーム(ふたりのロッテ)』がとても良かったので、一度小説の方も読んでみたいと思っていました。 ……で、結果は期待した以上。この…

🔵映画「コリーナ、コリーナ」感想*2人の女優の演技が見所*(1994アメリカ)レビュー4.3点

コリーナ、コリーナ [DVD] 【2人の名優】 子役のティナ・マジョリーノ(モリー役)がメッチャ可愛いです。天真爛漫で、伸び伸びしていて、思い遣りがあって……親なら誰でもモリーみたいな子に育ってほしいと思うんじゃないでしょうか。 それに、ウービー・ゴ…

🔴本「ロートレック荘事件」感想*難敵、叙述トリック*筒井康隆(新潮文庫)レビュー3.9点

ロートレック荘事件 (新潮文庫) 【難敵、叙述トリック】 これは評価の分かれるミステリーだと思います。なんかズルい、と思う人もいれば、これは鮮やか、と唸る人もいるでしょう。ただ、どちらにしても、“一気に読ませる”という点では、さすが巨匠という感じ…

🔵映画「ぜんぶ、フィデルのせい」感想*てっきり微笑ましいほっこり系の映画かと思ったら・・・*(2006フランス)レビュー3.8点

ぜんぶ、フィデルのせい [DVD] 【キョーサン主義ってなに?】 幼い女の子が主人公だから、てっきり微笑ましいほっこり系の映画かと思ったら、意外や意外、なかなか手強い映画です。 子どもの目から見た“キョーサン主義”、そのよく分からないものを通して見た…

🔴本「銀二貫」感想*あゝ、日本人で良かった*髙田郁(幻冬舎時代小説文庫)レビュー4.4点

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫) 【あけましておめでとうございます】 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 さて、新春第一弾は、正月気分に相応しい?人情モノの時代小説です。 これは泣けます。時代小説でこんなに泣けたのは『蛍草/葉室麟』以来です。元…