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🔵映画「マルタのやさしい刺繍」感想*何かを始めるのに遅すぎるということはない*(2006スイス)レビュー4.1点

マルタのやさしい刺繍 [DVD]

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【何かを始めるのに遅すぎるということはない】

女性のパワーはいくつになっても衰え知らずですね。恐れ入ります。この映画、スイス版『カレンダー・ガールズ』ってトコでしょうか。夢に向かって頑張るマルタと彼女を支える仲間たちがみんなキュートでチャーミング。いくつになっても若々しい人って、やっぱりカッコいいなあと思います。

【あらすじ・感想・レビュー】

舞台は、スイスの地方の集落、トループ村(絵葉書のように綺麗な村です!)。夫に先立たれ、失意の日々を過ごす80歳のマルタが、若い頃の夢を思い出し、自分でデザインし、刺繍したランジェリーの店をオープンさせるまでを描くハートウォーミングドラマ。

スイスも良い映画を作りますね。なにより「夢見る心とほんの少しの勇気があれば、人はいくつになっても輝ける」というメッセージが素敵です。“何かを始めるのに遅すぎるということはない”……そんなエールをもらっているような気がします。

マルタ(シュテファニー・クラウザー)の顔がちょっと厳ついので、初めはうーむって感じですが(なんか千と千尋の湯婆婆を思い出します)、時折強い意志を滲ませるその表情は、なるほどこの映画のテーマによく合ってるかもと思います。

マルタの計画は、村の伝統を破壊するものとして、彼女の息子(神父)や村の有力者らの露骨な反対に遭い、何度も頓挫しかけますが、その度に3人の友人が励まし、支えてくれます。マルタとこの友人たちの関係がとてもいい感じです。“女子会の絆、恐るべし”ですね。

それに比べてオトコどもの情けないこと!彼らは、ランジェリー・ショップをいかがわしいものと決めつけ、マルタを侮蔑し、嘲笑します(スイスの田舎って実際こんなに保守的なんでしょうか?)。特にマルタの息子と村の有力者の偽善者振りには怒り心頭です。しかし、そういう経緯があるだけに、ラストの女性たちのささやかな反乱は、まさに“グッジョブ!”、気分爽快です。

……ともあれ、世間体とか体面ばかりを気にしてなかなか前に進めないオトコたちと、今を大切にしてやりたいことをやる女性たちのコントラストは、つまるところ、男と女の本質的な違いの一例なのかもしれませんね(ひょっとして、こういう男女の考え方の違いが寿命の違いの一因なのかも、なんて思ったりもします)。オトコの自分としては、マルタの生き方が羨ましくもあり、少しでも見習いたいとは思うのですが……やっぱりイザとなったら世間体も気になるかなあ……(情けない!)。