お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

🔴本「デフ・ヴォイス」/丸山正樹(文春文庫)*自分と他者との違いを理解し、受け容れる対人関係の基本が学べる一冊*レビュー4.5点

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫) これは久々の掘り出し物!(巷ではかなり反響を呼んだらしいが、全く知らなかった)。「心が震える」という言葉がピッタリの感動作。こんな良心的な作品が本屋大賞などにノミネートされると本当に嬉しいのだが………

🔴本「一茶/藤沢周平」(文春文庫)*小動物を愛する好々爺のイメージが一気に崩壊*レビュー3.8点

一茶 (文春文庫) 小動物を愛する好々爺……小林一茶にはそんなイメージを抱いていたが、この本を読んでイメージ崩壊。まさかこんなにしたたかなオヤジだったとは! 【あらすじ】 本作は、江戸中期から後期にかけて、俳諧師として活躍した一茶の波瀾に満ちた生…

🔵映画「妻への家路」*中国俳優陣のレベルの高さ、監督の表現力に感心*(2015中国)レビュー3.9点

妻への家路 [Blu-ray] チャン・イーモウ監督の作品で最も印象深いのは、華北の美しい村を舞台にした清冽なラブストーリー「初恋のきた道」。村から町へと続く長い1本道の映像が今でも記憶に焼き付いている。 本作も、「初恋のきた道」と同じく、(夫婦の)…

🔴本「ハリネズミの願い」/トーン・テレヘン(新潮社)*言葉の持つ力や詩人の豊かな想像力が味わえる一冊*レビュー4.1点

ハリネズミの願い 動物を主人公にした本を50作以上発表しているオランダの人気作家トーン・テレヘンによる、大人のための《どうぶつたちの小説》シリーズの一冊。 【あらすじ】 臆病で気難しいハリネズミは、他のどうぶつたちとうまくつきあえず、いつも独り…

🔵映画「ダーティ・ダンシング」*60年代のアメリカの雰囲気がよく表れた、真っ直ぐで勢いのある青春グラフティ*(1987アメリカ)レビュー4.0点

ダーティ・ダンシング [DVD] 本作のリメイク版「ダンシング・ハバナ(2004アメリカ)」を観て以来、いつか観てみたいと思っていた映画(たまたまBOOKOFFで発見!)。60年代のアメリカの雰囲気がよく表れた、真っ直ぐで勢いのある青春グラフティ。 【あらすじ…

🔴本「占星術殺人事件」/島田荘司(講談社文庫)*終始大脳が刺激され、読後は頭がスッキリした気分になる一冊*レビュー4.4点

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫) 松本清張らの社会派ミステリーが主流だった1980年代に忽然と世に現れた傑作ミステリー。当時は異端扱いされ、ミステリーの進化を逆行させるとまで言われた作品らしいが、様々なサブジャンルのミステリーが乱立する今…

🔵映画「博士と彼女のセオリー」*ティーヴン役エディ・レッドメイン(アカデミー賞主演男優賞受賞)の演技が見所*(2014アメリカ)レビュー3.8点

博士と彼女のセオリー [Blu-ray] スティーヴン・ホーキングは、博士号を授与された際、教授陣から『次の目標は?』と聞かれて、こう答える。『時間に始まりがあることを1つの方程式で証明すること。すばらしくないですか?たった一つのシンプルでエレガント…

🔵映画「SPY(スパイ)」*テンションを上げたいとき、気分転換したいときにオススメ*(2015アメリカ)レビュー4.1点

SPY/スパイ [Blu-ray] [画像元:amazon.co.jp] たまにはこんな映画もいい。メチャクチャおバカなB級アクションコメディだが、とにかく笑えて愉しめる。出演陣もなかなか豪華。テンションを上げたいとき、気分転換したいときにオススメ。 【あらすじ】 CIAで…

🔴本「夜行」/森見登美彦(小学館)*作者の真の実力を見せつけた傑作*レビュー4.3点

夜行 深い井戸の底を覗き込むような不気味なテイストのホラー小説。これまでの作品とは全く趣きの異なる、作者の新境地を示す作品と言えるが、不気味な中にもどことなく甘美な香りが漂うあたりは、いかにも森見作品という感じがする。 【あらすじ】 10年前の…

🔵映画「ビューティー・インサイド」*中身は至って真面目で好印象な作品*(2015 韓国)レビュー4.0点

ビューティー・インサイド [Blu-ray] 毎日、容姿が変わる恋人??……いかにも韓国映画らしい奇抜な設定のラブストーリーだが、中身は至って真面目な作品。ツッコミどころもなくはないが、恋人たちの哀歓を繊細かつ丁寧に描いているところが好印象。 【あらす…

🔴本「大誘拐」/天藤真(創元推理文庫)*20世紀ミステリー小説の金字塔とも言える作品*レビュー4.6点

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫) 82歳の大金持ちのおばあちゃんが誘拐された。その身代金はなんと100億円! 空前のスケール感、予測できない展開、卓抜なユーモア、存在感のあるキャラクター、そして意外な結末……どれをとっても第一級のエン…

🔵映画「パンズ・ラビリンス」*竹中直人が激賞していた映画らしい映画*(2006メキシコ,スペイン,アメリカ)レビュー4.1点

パンズ・ラビリンス [Blu-ray] この世界観は映像でしか表現できないだろう。その意味ではいかにも映画らしい映画。内容が想像以上にダークなので、受けつけない人もいるかもしれないが、映画としての完成度は高く、個人的には好みの映画。竹中直人が激賞して…

🔴本「こんな映画が、」/吉野朔実(河出文庫)*エッセイとしても楽しめる、稀少なシネマガイド*レビュー4.4点

こんな映画が、―吉野朔実のシネマガイド 今回はちょっと趣向を変えて、シネマガイド。このジャンルは、古いところでは淀川長治、双葉十三部、最近では内田樹、町山智浩などを時々読んでいるが、この本は読物としての面白さという点で群を抜いている。著者の…

🔵映画「34丁目の奇跡」*子供にも大人にもオススメの作品*(1994アメリカ)レビュー4.3点

34丁目の奇跡 [Blu-ray] 1947年の「三十四丁目の奇蹟」のリメイク版。夢があって愛があって、とても上質なクリスマス・ムービー。ストーリーに意外性と説得力があって、大人でも十分愉しめる(……ちょっとナメてたかも)。これは愛すべき映画。次はオリジナル…

🔵映画「ブリッジ・オブ・スパイ」*脚本がコーエン兄弟、監督がスピルバーグ、主演がトム・ハンクスなら当たりかも...?*(2015アメリカ)レビュー4.2点

ブリッジ・オブ・スパイ [Blu-ray] 脚本がコーエン兄弟、監督がスピルバーグ、主演がトム・ハンクスなら当たりかも……ということで、迷わずゲット。結論から言えば、期待以上の出来で、満足の1本。 本作は、東西冷戦下、米ソ間で行われたスパイ交換のミッシ…

🔴本「母性」/湊かなえ(新潮文庫)*人間の心の奥底に潜む「悪意」を表現*レビュー3.7点

母性 (新潮文庫) 人間の心の奥底に潜む「悪意」をこれだけうまく切り取って見せてくれる作家はそうはいないだろう。悪意のオンパレードの後に善意の存在を示して読者を救う手口はこの作家の常套手段だが、つくづくうまいなあと思う。「告白」も印象深いが、…

🔵映画「エール!」*フランスで大ヒットしたが、日本人の感性に合うのか…?*(2016フランス)レビュー3.6点 

エール! [Blu-ray] ヒューマンドラマにコメディ要素を盛り込だ、いかにもフランスらしい大らかな映画。フランス本国で大ヒットしたらしいが、日本人の感性に合うかどうかは微妙かも……。 【あらすじ】 フランスの片田舎で農業を営むバリエ一家は、とても仲の…

🔵映画「世界一キライなあなたに」*「生」や「愛」の本質に迫る良質の作品*(2016アメリカ,イギリス)レビュー4.2点

世界一キライなあなたに ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray] よくあるセレブのボンボンと貧しい庶民の娘の恋バナかと思いきや、これが予想以上に深みのあるラブストーリー。「生」や「愛」の本質に迫る良質の映画で、観てよかったと素直に思える一作。 …

🔴本「こっちへお入り」/平安寿子(祥伝社文庫)*読むと何だか得した気分の一冊*レビュー4.1点

こっちへお入り (祥伝社文庫) この小説には勢いがある。モチーフが「落語」なだけに、文章の歯切れが良くて、話のテンポもいい。励まされ、元気が出る上、落語にまつわる様々な薀蓄も楽しめて、何だか得した気分の一冊。 【あらすじ】 本作は、彼女33歳独身O…

🔴本「みかづき」/森絵都(集英社)*心に残る言葉の宝庫のような本*レビュー4.5点

みかづき 起伏に富んだストーリーと心震わす珠玉の言葉で物語の醍醐味を堪能させてくれる、森絵都渾身の長編力作。「永遠の出口」や「カラフル」も良かったが、これは文句なしの傑作。王様のブランチの「ブックアワード2016」に輝いたのも十分頷ける。 本作…

🔵映画「群衆」*古き良きアメリカの良心とも言うべき庶民の善意が描かれている作品*(1941アメリカ)レビュー4.0点

群衆 《IVC BEST SELECTION》 [DVD] フランク・キャプラ作品の特徴は、社会風刺(権力批判)とヒューマニズム。予定調和的とか偽善的といった評価もあるが、「或る夜の出来事」、「スミス、都へ行く」、「我が家の楽園」など、どれも自分の好みのど真ん中。…

🔵映画「ガス燈」*犯人探しを愉しむ映画ではなく、夫がポーラに仕掛けるトラップの凄味を味わう映画*(1944アメリカ)レビュー3.8点

ガス燈 [DVD]日本語吹き替え版 イングリッド・バーグマンは、キラキラした瞳とツンと上を向いた鼻がいい。すました横顔がとてもチャーミングで、知性と気品を感じる女優だ。 本作の製作は1944年。第二次大戦の最中にこんな娯楽作品を作るなんて、今更ながら…

🔴本「真昼の悪魔」/遠藤周作(新潮文庫)*「愛とは何か、悪とは何か」を問い続けたカトリック作家の作品*レビュー3.9点

真昼の悪魔 (新潮文庫) 「沈黙」が映画化され、本作がTV放映されるなど、今、遠藤作品が脚光を集めている。ブームなのだろうか。本作が書かれたのは昭和55年。何故今、遠藤周作なのかは、よく分からないが。 ちなみに、学生当時、「第三の新人」が全盛だった…

🔵映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」*ヘレン・ミレンの代表作と言っていい名作*(2015アメリカ,イギリス)レビュー4.3点

黄金のアデーレ 名画の帰還 [Blu-ray] 実話の重みがひしひしと伝わってくる、力強く骨太なヒューマンドラマ。モチーフはクリムトの名画「黄金のアデーレ」(「アデーレ・ブロッホ=バウワーの肖像1」又は「黄金の女」とも言う)。 本作は、オーストリア政府…

🔵映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」*人間の尊厳や人間の限りない可能性を感じられるオススメ作品*(2014フランス)レビュー4.4点

奇跡のひと マリーとマルグリット [DVD] これは好きな映画。オープニングからエンディングまでウルウルしっ放し。ホンモノの感動なのか、トシのせいで涙腺が弱くなっているのかよく分からないが、とにかく単純に好きと言える映画。 アン・バンクロフト、パテ…

🔵映画「ブラディ・サンデー」*とても作り物とは思えない圧倒的な映像のリアリティ*(2002イギリス,アイルランド)レビュー4.2点

ブラディ・サンデー スペシャル・エディション [DVD] 1972年1月30日、北アイルランドのデリー市で発生した「血の日曜日事件」をドキュメンタリータッチで再現し、検証した映画。 【あらすじ】 北アイルランド紛争の背景にあるのは、イギリス、アイルランド…

🔴本「天下り酒場」/原宏一(祥伝社文庫)感想*魅力は常識人の思考の盲点を突く、着想(視点)のユニークさ*レビュー4.1点

天下り酒場 (祥伝社文庫) 10年程前に読んだ「床下仙人」は衝撃的だった。(内容はあまり覚えていないが……)ありえない状況設定なのに妙にリアリティがある、摩訶不思議な短編集だったと記憶している。 本作は、久々にそのテイストを彷彿とさせる短編集。「握…

🔴本「ビブリア古書堂の事件手帖7」/三上延(メディアワークス文庫)*古書を題材(ネタ)にしたミステリーシリーズの完結編*レビュー4.1点

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫) 本作は、古書を題材(ネタ)にしたミステリーシリーズの完結編。 各巻でネタとなった書物はどれも興味を惹かれるものばかりで、その渋いチョイスに唸らされ(「おっと、そうきた…

🔴本「猫旅リポート」/有川浩(講談社文庫)*一人と一匹の永遠の絆が爽やかな涙を誘う、ファンタジー小説の名作*レビュー4.3点

旅猫リポート (講談社文庫) 猫好きの青年とその飼い猫との固い絆を、慈しみの眼差しで描いたロード・ノベル。温かくて切なくて爽やかで、涙腺崩壊間違いなしの一冊。有川浩が世代を超えて幅広い層から支持されるのも分かる気がする。 【あらすじ】 野良猫の…