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🔵映画「博士と彼女のセオリー」*ティーヴン役エディ・レッドメイン(アカデミー賞主演男優賞受賞)の演技が見所*(2014アメリカ)レビュー3.8点

博士と彼女のセオリー [Blu-ray]

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スティーヴン・ホーキングは、博士号を授与された際、教授陣から『次の目標は?』と聞かれて、こう答える。『時間に始まりがあることを1つの方程式で証明すること。すばらしくないですか?たった一つのシンプルでエレガントな方程式が、すべてを証明する』……偉大な人の言葉は、簡潔で力強い。

本作は、宇宙の起源の解明に挑んだ理論物理学者スティーヴン・ホーキングと彼を支えた妻のジェーン・ワイルドの波瀾の半生を描いた伝記映画。

【あらすじ】

1960年代、ケンブリッジ大学で理論物理学を研究するスティーヴンは、あるパーティで、中世詩を専攻するジェーンと出会い、恋に落ちる。ちょうどその頃、スティーヴンは筋萎縮性側索硬化症を発症し、余命宣告を受ける。絶望するスティーヴンを献身的に支えるジェーン……やがて、2人は結婚し、新たな家庭で子供も授かるが、スティーヴンが身体の自由を奪われていくにつれ、夫婦の関係も微妙に変化していく……。

【感想・レビュー】

主としてスティーヴンとジェーンの夫婦の絆を描いた映画なので、ブラックホールやビッグ・バンなどの彼の偉業にまつわる秘話に興味がある人には、期待外れの映画かもしれない。また、2人の関係についても、序盤は明るい雰囲気だが(特にパーティでのダンスシーンは美しい)、中盤以降は綺麗事では済まされない夫婦の現実が描かれて、切なくほろ苦い。したがって、美談を期待する人にも、不向きの映画かもしれない(実話ベースなので致し方ないところだろう)。しかし、ラストのスティーヴンの一言は感動的だ。彼の半生は、「自分が生かされている意味」を探る旅のようなものだったに違いない。この(肯定的な)一言に、苦難の果てに辿り着いた彼の答が示されているようで、癒され、救われる。

この映画の見どころは、何と言ってもスティーヴンを演じたエディ・レッドメインの体当たりの演技(本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞)。目と眉だけの感情表現は只々見事と言うしかない。また、ジェーンを演じたフェリシティ・ジョーンズの演技も見事で、いかにも意志の強さを感じさせる凛々しい表情が強く印象に残る。

人生の真実を見せられて、色々考えさせられる映画だが、終盤がやや性急で、まとまりや盛り上がりに欠けるのが惜しいところ。