お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

🔴本「アリバイ・アイク R・ラードナー傑作選」(新潮文庫)*ラードナーの炸裂するユーモアに終始頬が緩みっ放しの一冊*レビュー4.3点

アリバイ・アイク: ラードナー傑作選 (新潮文庫) アメリカの短編小説の名手リング・ラードナーの13の短編を収録した作品集。 【内容】 褒められても腐されても言い訳しか言わない野球選手、血も涙もない成り上がりのボクサー、患者の容態などお構いなしに喋…

🔵映画「母なる証明」*ポン・ジュノ監督に脱帽した凄いサスペンス映画*(2009韓国)レビュー4.0点

母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD] ポン・ジュノ監督の「ほえる犬は噛まない」と「グエムルー漢江の怪物ー」を観たとき、そのシュールさとダイナミックさにたまげて、ブッ飛んだ。そして「殺人の追憶」。これはもう、凄いとしか言いようのな…

🔵映画「大人は判ってくれない」*若き天才フランソワ・トリフォー監督が描く少年の屈折した心情*(1959,フランス)レビュー4.2点

大人は判ってくれない/あこがれ Blu-ray フランソワ・トリュフォー監督は、子どもを撮るのが本当に上手い。「思春期」はその真骨頂を示す作品だと思う。 本作は、彼の不遇な少年時代を下敷きに、愛に飢えた少年の悲しみや孤独、自由への渇望を繊細なタッチで…

🔴本「湯を沸かすほどの熱い愛」/中野量太(文春文庫)*「君の名は」よりも優れていると思うノベライズ作品*レビュー4.0点

湯を沸かすほどの熱い愛 (文春文庫 な 74-1) 2016年10月公開の同名映画(中野量太監督、宮沢りえ主演)のノベライズ作品。同じようにノベライズされた「君の名は。」も読んでみたが、小説としての出来は本作の方が優れていると思う。 【あらすじ】 夫の家出…

🔴本「人生のちょっとした煩い」/G・ペイリー(文春文庫)*しんどいけど面白いユニークな作品*レビュー4.2点

人生のちょっとした煩い (文春文庫) 彼女の書いたものは全て自分の手で訳してみたい……。村上春樹にそう言わしめた、アメリカの主婦小説家グレイス・ペイリーの初期短編10篇から成る第一作品集。 【感想・レビュー】 断っておくが、この作品は結構しんどい。…

🔵映画「花様年華」*パッションと退廃感を鮮烈に表現した、なかなかの秀作*(2000香港)レビュー3.9点

花様年華 [Blu-ray] ウォン・カーウァイ監督の特徴は、その独特の色彩感覚。「欲望の翼」も「恋する惑星」も、原色を基調とした油絵のような色彩設計でパッションと退廃感を鮮烈に表現した、なかなかの秀作だったと思う。本作でもそのイメージは変わらない。…

🔵映画「欲望のあいまいな対象」*傑作と思いきや、ク〇映画・・・・!?*(1977フランス, スペイン)3.2点

欲望のあいまいな対象(1977) [DVD] 鬼才ルイス・ブニュエル監督の遺作。正直なところ傑作なのかクソ映画(失礼!)なのか判断しかねるが、直感で言うなら、クソ映画(度々失礼!)。 【あらすじ】 ブルジョワの中年紳士が10代の美女に一目惚れ。金の力に物言…

🔴本「感傷コンパス」*安らかで心地好い余韻に包まれる佳作*多島斗志之(角川文庫)レビュー4.0点

感傷コンパス (角川文庫) 「教師と生徒たちのふれあいを描いたドラマ」というふれこみに弱い。特に小学校低学年モノには滅法弱い。読書の原体験が「二十四の瞳」だったからだろうか。それとも映画「あの子を探して」や「すれ違いのダイアリーズ」の影響か。……

🔵映画「ラルジャン」*映画に芸術性を求める人にはオススメ*(1983フランス, スイス)レビュー3.9点

ラルジャン [DVD] KKDS-21 これは好き嫌いのハッキリ分かれる映画。映画に娯楽性を求める人にはシビアな作品だろうが、映画に芸術性を求める人にはうってつけの作品だろう。 【あらすじ】 本作は、芸術監督として名高いロベール・ブレッソン監督作品。トルス…

🔴本「最後の医者は桜を見上げて君を想う」/二宮敦人(TO文庫)*若者にも年寄りにも一押しの作品*レビュー4.4点

最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫) 書店員のPOPに惹かれて購入。読んでみたら、これが久々の夜更かし本。書かずにはいられないという作者の熱い想いがズシンと胸に響く渾身の力作。 【あらすじ】 地域の基幹病院の副院長福原と勤務医の桐子と音山。…

🔵映画「ふたりのベロニカ」*観る人によって解釈がガラリと変わる総合芸術作品*(1992フランス,ポーランド)レビュー4.4点

ふたりのベロニカ Blu-rau [Blu-ray] 「愛に関する短いフィルム」は、キェシロフスキ監督の映像作家としての才能が如何なく発揮された、稀有の名作だと思う(個人的には、この作品と「エル・スール」(ビクトル・エリセ監督)は、棺桶に入れてあの世に持って…

🔵映画「アメイジング・グレイス」*民主主義の限界やヒューマニズムの本質を考えさせられる作品*(2006イギリス)レビュー4.2点

アメイジング・グレイス [DVD] 18世紀末から19世紀前半のイギリスを舞台に、奴隷解放のために闘った実在の政治家ウィリアムズ・ウィルバーフォースの波乱の半生を描いた史実に基づくドラマ。 【あらすじ】 聖職者として神の道を歩むか、政治家として世を変え…

🔴本「阿蘭陀西鶴」/朝井まかて(講談社文庫)*一流作家の表現力を味わえる作品*レビュー4.0点

阿蘭陀西鶴 (講談社文庫) 少々ジジくさいが、時代小説はいい。葉室麟の「蛍草」、乙川優三郎の「生きる」、宇江佐真理の「糸車」などは本当にいい作品だと思う。今回は、「すかたん」の才を評価して朝井まかてをチョイス。 本作は、江戸前期に活躍した浮世草…

🔵映画「刑事ジョン・ブック 目撃者」感想*ラブストーリーとサスペンスのバランス抜群*(1985アメリカ)レビュー4.2点

刑事ジョン・ブック 目撃者 [Blu-ray] 確か20数年前にTVで観た映画。何となく好印象が残っていたので、Blu-rayを購入。少し硬い映画が続いていたので、息抜きのつもりで観ていたら、これがどうしてなかなかの出来。再鑑賞に十分耐えられる映画。 【あらすじ】…

🔵映画「冬冬の夏休み」~心の琴線に触れる至福の映画~(1984台湾)4.6点

冬冬の夏休み -デジタルリマスター版- [Blu-ray] 長い間DVD化を心待ちにしていた映画(以前書店で紀伊國屋レーベルのDVDを見かけたのだが、購入をためらっているうちに、いつの間にか廃盤になっていた)。去年Blu-rayが発売されたので、即購入。「恋恋風塵」…

🔴本「海の子」/ドリアン助川(ポプラ文庫)のラストは予想外だった。レビュー4.1点

海の子 (ポプラ文庫) ドリアン助川は、好みの作家。イチオシ作品は、多摩川沿いの住人の日々の哀歓を綴った「多摩川物語」。切々とした余韻が心に沁みる素晴らしい作品だった。 【ストーリー】 本作は、日々の生活に疲れ切った人々が「船釣り」をきっかけに…

🔵映画「レナードの朝」は、役者:ロバート・デ・ニーロもストーリーも最高の一作(1990アメリカ)レビュー4.2点

レナードの朝 [SPE BEST] [Blu-ray] ロビン・ウィリアムズが亡くなった。そのときのオバマ大統領の追悼スピーチがとても印象的だった……。 【俳優】 個人的にはそれほど思い入れのある俳優ではなかったが、随分昔に観た「パッチ・アダムス」「グッドウィル・…

🔵映画「愛のエチュード」は、色恋モノを超えた、繊細で深みのある人間ドラマ(2000イギリス,フランス)レビュー4.1点

愛のエチュード [DVD] チェスに取り憑かれた異端の天才チェスプレイヤー、ルージンと彼を一途に愛したロシア人女性ナターリアの運命の出会いと悲劇的な別れを、チェスゲームのスリリングな展開を織り交ぜながら、格調高く描いた恋愛映画。 【あらすじ】 舞台…

🔵映画「赤い風船」は、映画を超えた詩のような美しい作品(1956フランス)レビュー4.5点

赤い風船/白い馬【デジタルニューマスター】2枚組初回限定生産スーベニア・ボックス [DVD] わずか35分の短編なのに、なんて素敵な映画だろう! 少年と風船の友情を限りなく優しい眼差しで描いた、なんとも美しい映画。……いや映画というより一篇の詩か。 【あ…

🔵映画「逢いびき」は、男女の悲恋を詩情豊かに描いた不朽の名作(1945イギリス)レビュー3.8点

逢びき [DVD] 「アラビアのロレンス」「戦場にかける橋」で二度のアカデミー賞監督賞に輝く巨匠デヴィッド・リーン監督の出世作。 【あらすじ】 平凡な主婦のローラは買物帰りのバーで、医師アレックスと出逢う。その後、偶然の再会を経て、二人の距離は次第…

🔴本「号外・少年の悲哀」/国木田独歩(岩波文庫)レビュー4.0点

号外/少年の悲哀―他六篇 (岩波文庫 緑 19-4) 独歩と言えば「武蔵野」や「牛肉と馬鈴薯」が有名だが、学生時代好きだったのは「馬上の友」と「画の悲み」。書店を探してみたが、どちらの作品も見当たらなかったので、やむなくBOOKOFFでこの本を購入。 【感想…

🔴本「戸村飯店 青春100連発」/瀬尾まいこ(文春文庫)は、女性ウケするほっこり青春小説 レビュー3.6点

戸村飯店 青春100連発 (文春文庫) 若い女性に本を薦めて一番ハズレがないのが瀬尾まいこ。「卵の緒」「天国はまだ遠く」なんかはほぼ鉄板。構えないで気楽に読めるところや読後のほっこり感が人気の理由なのだろう(しかし「温室デイズ」はちょっとしんどか…

🔴本「不動カリンは一切動ぜす」/森田季節(ハヤカワ文庫)タイトルセンスはいいが、年寄りには不向きな本だった。レビュー3.4点 

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA) タイトルのセンスに惹かれて購入。 第一部は「不動カリンは一切動けず」、第二部は「不動カリン、動く」、第三部は「不動カリンは一切動ぜず」。これもナイスセンス。 【感想・レビュー】 で、中身はというと、……う…

🔵映画「楽日」は、ノスタルジーと映画愛に溢れたツァイ・ミンリャン監督の秀作(2003台湾)レビュー3.9点

ツァイ・ミンリャン監督作品 楽日 [DVD] 実在の古い映画館を舞台に、閉館間際に繰り広げられる人間模様が描かれた人間ドラマ。 【内容】 わずか82分の映画だが、セリフが極端に少なく(セリフはわずか数回だけ)、音楽も流れず(エンドロールの60年代歌謡の…

🔵映画「きっと、星のせいじゃない。」は、限られた日々の中にある"永遠の愛"を教えてくれる作品(2014アメリカ)レビュー4.1点

きっと、星のせいじゃない。 [Blu-ray] 若いガン患者同士の恋を、そっと見守るような視線で描いた珠玉の恋愛映画。 【感想・レビュー】 いわゆる「泣ける映画」だが、限られた日々を全うしようとする恋人たちの姿をユーモアを交えてポジティブに描いているの…

【2016年に出会った凄い映画】オススメ30作品をまとめて紹介

前回に引き続き2016年の総括。今回は強く印象に残った映画編ですが、とても20作では収まりきれないので、30作挙げてみました。 ちなみに映画はすべてDVDでの鑑賞です(映画好きの風上にも置けない人間ですが、人混みが嫌いなので)。 【2016年に出会った凄い…

【2016年に出会った凄い本】オススメ20作品をまとめて紹介

今回は、備忘録を兼ねて、昨年読んだ本の中から特にインパクトのあったもの(感動した作品やインスパイアされた作品など)を20作品セレクトし、ランキング形式で紹介します。 「人生の豊かさは、その人が生涯に味わった感動の総量に比例する」(byお気楽年金…

🔵映画「善き人のためのソナタ」は、ドイツ人の気質が生み出した名作(2006ドイツ)レビュー4.3点

善き人のためのソナタ [Blu-ray] 時代は1984年、舞台は東西冷戦下の東ベルリン。監視国家体制を支えるシュタージュ(国家保安局)の幹部ヴィースラー大尉は、反体制の疑いがある劇作家とその恋人の私生活を盗聴、盗撮で日夜監視する中、次第に彼らの自由な思…

🔴本「されど、われらが日々ー」/柴田翔(文春文庫)は、人生に向き合う若者に是非読んで欲しい一冊 レビュー4.4点

されどわれらが日々― (文春文庫) この作品を初めて読んだのは大学1年の頃。 丁度オイルショックの激震が日本を襲った頃だったと思う。既に構内には70年安保の熱気はなく、たまに学生集会のために休講になる程度の余熱しかなかった時代に、なぜかこの本だけ…

🔴本「トッカン 特別国税徴収官」感想*一生懸命生きる人間の姿に心揺さぶられる傑作*高殿円(ハヤカワ文庫)レビュー4.3点

トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA) 確定申告の時期が近くなったので、「税」について真面目に考えてみたいと思って手にした本。というのはウソで、名古屋大学文芸サークルのオススメ本ということで購入(イマドキの学生さんがどんな本を読んでいる…