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🔵映画「愛のエチュード」は、色恋モノを超えた、繊細で深みのある人間ドラマ(2000イギリス,フランス)レビュー4.1点

愛のエチュード [DVD]

愛のエチュード [DVD]

チェスに取り憑かれた異端の天才チェスプレイヤー、ルージンと彼を一途に愛したロシア人女性ナターリアの運命の出会いと悲劇的な別れを、チェスゲームのスリリングな展開を織り交ぜながら、格調高く描いた恋愛映画。

【あらすじ】

舞台はイタリアの美しい避暑地。そこで行われるチェスの世界選手権に出場したルージンは、ナターリアを見て一目で恋に落ちる。幼い頃のトラウマを抱えて奇行を繰り返すルージンに周囲の目は冷ややかだが、ただ一人ナターリアだけは直感的に彼の苦悩を察知し、深い愛情を抱くようになる。ルージンはナターリアの献身的な支えによって、苦しみながらも決勝戦まで駒を進めるが、そこにルージンの破滅を画策する謎の男が現れて、ルージンをじわじわと追いつめていく……。

【感想・レビュー】

ルージンのトラウマとなっている幼少期のエピソードを丁寧に拾い上げ孤独な天才の苦悩を浮き彫りにすることで、単なる色恋モノを超えた、繊細で深みのある人間ドラマに仕上げている。そして、個性派俳優陣の確かな演技、湖畔の風景の自然美、瀟洒なホテルの造形美、華麗なクラシックの調べ……。うーむ、と唸ってしまう。特に、ルージンがナターリアの手を取って初めて女性とダンスを踊るシーンは溜息モノの美しさ。こういう洗練された画を味わう愉悦は洋画ならでは。

一言で言えば、いかにも女性監督らしい、凛とした佇まいの清潔で端正な映画。雰囲気がいいだけの恋愛映画に物足りなさを感じている女性にオススメ。

電器店の投売りセールで見つけたDVDだが、意外な拾いものをした気分。