お気楽CINEMA&BOOK天国♪

お気楽CINEMA&BOOK天国♪

金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

🔵映画「イーグル・ジャンプ」*挑戦し続けることの大切さを教えてくれる作品*(2016アメリカ,イギリス,ドイツ)レビュー4.3点

イーグル・ジャンプ (2枚組)[Blu-ray + DVD](初回生産限定) 1988年のカルガリー冬季オリンピック。ジャマイカのボブスレーチームと並んて話題を集めたのは、イギリス史上初のスキージャンパー、エディ・エドワーズ。本作は、オリンピックに賭けた彼の情熱的…

🔴本「コーヒーが冷めないうちに」/川口俊和(サンマーク出版)*2017年本屋大賞のノミネート作!希望が沸いてくる作品*レビュー4.2点

コーヒーが冷めないうちに 地下の狭い喫茶店、少数の登場人物、カウベルや柱時計などのごく簡素なセット(この物語は、時間移動だけで空間移動はない)……なるほど、いかにも舞台劇の演出家らしい(物語)設計だと思う。 【登場人物】 登場人物は、恋人に別れ…

🔵映画「天国からの奇跡」*日常の奇跡に気づかされ、大切な人に感謝を伝えたくなる作品*(2016アメリカ)レビュー4.2点

天国からの奇跡 [Blu-ray] 普段そうとは気づかないが、この世界は驚きと発見に満ちている。だから、(神も仏も信じないが)奇跡は信じている。この作品は、難病の少女に起こった奇跡を描いた実話に基づく物語。 【あらすじ】 テキサスの田舎町で暮らす少女ア…

🔴本「桜風堂ものがたり」/村山早紀(PHP)*人として大切なことを教えてくれる作品*レビュー4.4点

桜風堂ものがたり 物語が終わってしまうのが名残惜しくて、残りのページ数を気にしながら本を読んだのは、いつ以来だろうか。これは人を幸せな気持ちにしてくれる本。もし自分が書店員だったら、きっと、POPを作って店の一番目立つ所に並べていることだろう…

🔵映画「愛、アムール」*名優ジャン・ルイ・トランティニャンとエマニュエル・リヴァの迫真の演技が光る一作*(2012フランス,オーストリア,ドイツ)レビュー3.7点

愛、アムール [DVD] とても良質の映画なのだが、二回は観たくない映画というものがある。自分にとって、「ソフィーの選択」、「ライフ・イズ・ビューティフル」、「オアシス」などがそうだった。個人的には、この映画もそのジャンルに入るかもしれない。 描…

🔴本「真実の10メートル手前」/米澤穂信(東京創元社)*本格推理の醍醐味と深い人間ドラマを高い次元で両立させた、上質のミステリー*レビュー4.1点

真実の10メートル手前 「満願」も「王とサーカス」も良かったが、自分のどストライクは、「儚い羊たちの祝宴」。江戸川乱歩、夢野久作、中井英夫ら以来、幻想と耽美の世界を堪能させてくれる作家が意外と少ない中で、この作品は自分のツボにピッタリはまる貴…

🔵映画「素敵なウソの恋まじない」*人はいくつになっても素敵な恋ができることを教えてくれるファンタジック・コメディ*(2015イギリス)レビュー3.9点

素敵なウソの恋まじない [DVD] メチャクチャひどいタイトルだけど、主演はダスティン・ホフマンとジュディ・デンチ。芸達者な二人の共演なら観るしかない、ということで、即ゲット。 本作は、気弱で女性に超オクテなホッパーじいさんと、オチャメでラブリー…

🔴本「暗幕のゲルニカ」/原田マハ(新潮社)*アートミステリーの体裁の中に不戦や反戦のメッセージを吹き込んだ力作*レビュー4.1点

暗幕のゲルニカ 傑作「楽園のカンヴァス」を彷彿とさせるアートミステリー。今回のモチーフはピカソの『ゲルニカ』。いくら十八番とは言え、あえて巨匠ピカソをチョイスしたところに、この作品に賭ける原田マハの並々ならぬ覚悟が感じられる。 【あらすじ】 …

🔵映画「人生は狂詩曲」*政治的深刻さとは無縁の明るく愉しいミュージカル・コメディ*(2014ベルギー,ルクセンブルク)レビュー3.9点

人生は狂詩曲 [DVD] ベルギーにはフラマン人とワロン人がいて、言語もオランダ語圏とフランス語圏に分かれている、なんてこのトシになるまで全く知らなかった。この小さな国ですらそうなのだから、欧州全体となると、もうどれだけ複雑なバランスで成り立って…

🔴本「彼が通る不思議なコースを私も」/白石一文(集英社文庫)*生きることの意味を考えさせられ、未来への希望を繋ぐ良心的一冊*レビュー4.0点

彼が通る不思議なコースを私も (集英社文庫) 第一感は、清潔感のある、とても感じがいい作品という印象。生と死、仕事と家庭、恋愛と友情など、身近でありふれた問題を、生真面目に描いているところに好感が持てる。 【ストーリー】 本作は、不思議な運命で…

🔵映画「黄金の馬車」*巨匠ジャン・ルノアールの芸術的精神が宿った大らかな人間喜劇*(1952フランス,イタリア)レビュー4.2点

黄金の馬車 デラックス版 [DVD] 印象派を代表する画家ピエール・オーギュスト・ルノアールの息子ジャン・ルノアール監督作品。同監督の作品は「大いなる幻影」、「草の上の昼食」、「ゲームの規則」に次いで4作目の鑑賞。個人的な好みは「大いなる幻影」。…

🔴本「盤上の夜」/宮内悠介(創元SF文庫)*ただただお見事と言う他ない文句なしの一作*レビュー4.4点

盤上の夜 (創元SF文庫) 宮内悠介の作品は初めて読んだが、正直、驚いた。テーマの壮大さといい、散文と詩が一体化したような文章といい、卓抜なストーリーテイリングといい、ただただお見事と言う他ない。新たな才能に出くわした時の新鮮な驚きと喜びを感じ…

🔵映画「過去をもつ愛情」*フランスらしい芳醇な香りの漂う大人の恋愛作品*(1955フランス)レビュー4.3点

過去をもつ愛情 HDリマスター版【初DVD化】 以前「パリジェンヌ/1961フランス」で観たフランソワーズ・アルヌールは、悪戯っぽくて小悪魔的なパリジェンヌという印象だったが、本作では打って変わって、翳のある魅惑的な未亡人役を情感豊かに演じている。 …

🔵映画「ブリキの太鼓」*濃いスープをドップリと飲まされたような気分になる作品*(1979ドイツ)レビュー3.8点

ブリキの太鼓 [DVD] ドイツのノーベル賞作家ギュンター・グラスの同名小説の映画化。ちなみに原作の方は、一時期ブームになったので一応買ってはみたのだが、余りの分厚さに恐れをなして、未だに1ページも開いていない。しかし、この映画を観た後で読む気に…

🔴本「週末カミング」/柴崎友香(角川文庫)*今を懸命に生きる若い女性にオススメ*レビュー4.2点

週末カミング (角川文庫) ごく普通の人々の日常を描き続ける作家、柴崎友香の、「週末」をテーマにした短編8篇を収録した作品集。 【作家について】 この作家もまた魅力的。劇的な出来事などなくても、少し視点を変えれば、日常は驚きと慈しみに満ちている…

🔴本「卵をめぐる祖父の戦争」/デイヴィッド・ベニオフ(ハヤカワ文庫)*ラストの1ページがとにかく見所!*レビュー4.4点

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) 小説「25時」や映画「トロイ」を手がけたアメリカの作家、脚本家のデイヴィッド・ベニオフの3作目の小説。意味深なタイトルに惹かれて購入したが、内容は想像以上の出来。 【あらすじ】 物語の舞台は、1942年のドイ…

🔴本「旅のラゴス」/筒井康隆(新潮文庫)*ラゴスの流浪の旅は、永遠の恋人デーデを探す旅であり、自分が何者かを探す旅でもある*4.3点

旅のラゴス (新潮文庫) 筒井康隆の作品は、ずっと昔に数冊読んだ程度なのではっきりとは言えないが、ブラックジョークとパロディが痛烈で、作風があまり肌に合わない作家という漠然としたイメージが残っている。しかし本作は、そうしたイメージを覆す作品で…

🔵映画「幸せになるためのイタリア語講座」*登場人物の魅力で成功した作品*(2000デンマーク)4.3点

幸せになるためのイタリア語講座 デラックス版 [DVD] ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したデンマーク映画。 こういう地味な小品が賞を獲るのは他人事ながら嬉しい限り。この映画と共に、審査員にも盛大な拍手を贈りたい。 【あらすじ】 妻を亡くしたばかりの…

🔵映画「シング・ストリート」*笑えるし、泣ける、青春(音楽)映画*(2016アイルランド)レビュー4.4点

シング・ストリート 未来へのうた スタンダード・エディション [Blu-ray] 「ONCE ダブリンの街角で」、「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督作品。「ONCR ……」の方は正直なところピンとこなかったが、「はじまりのうた」は、本当に素敵な作品だった。 …

🔵映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」*「失敗から学ぶ多くのこと」を教えてくれるヒップホップダンスの映画*(2015アメリカ)レビュー3.8点

ストレイト・アウタ・コンプトン [Blu-ray] 1980年代、全米一危険な街と言われたカリフォルニア州コンプトンで産声を上げた伝説のヒップホップグループN.W.A。本作は、その結成から、解散、再結成までの軌跡を描いた伝記ドラマ。 【あらすじ】 ドラッグと差…

🔴本「月の上の観覧車」/荻原浩(新潮文庫)*「上海租界の魔術師」は、文句なしの出来*レビュー3.5点

月の上の観覧車 (新潮文庫) 昨年直木賞作家となった荻原浩の短編8篇を収録した作品集。 【感想・レビュー】 多くの作品が中高年の喪失感を扱って同世代の人間にとっては見につまされる切なさがある。ただ、余りにも感傷的で、やりきれない気分にもさせられ…

🔴本「不安な童話」/恩田陸(祥伝社文庫)*著者の豊かな才能を見せつけた傑作*レビュー3.7点

不安な童話 (ノン・ポシェット) 本作は、不思議な透視能力を持つ女性(古橋万由子)が、25年前に変死した女性画家(高槻倫子)の殺人事件の謎に巻き込まれていく様を描いたミステリー。 【あらすじ】 ……大学教授秘書の万由子は、かつて天才画家と謳われた高…

🔵映画「山猫」*映画本来の豊かさと陶酔感が味わえる一作*(1963イタリア, フランス)レビュー4.2点

山猫 [DVD] 「ヴィスコンティを観ずして映画を語るなかれ!」と亡き淀川センセイは言った。……で、センセイに敬意を表して、一応、襟を正して鑑賞……のつもりが、186分の長さに根負けして、途中から寝そべってしまった。どうやらヴィスコンティは体力もケタ外…

🔵映画「ロシュフォールの恋人たち」*愉快で小気味好いフレンチ・ミュージカル*(1967フランス)レビュー4.1点

ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版(2枚組) [DVD] ふらんすに行きたしと思えど/ふらんすはあまりにも遠し/せめては新しき背広をきて/きままなる旅にいでてみん……。 詩人萩原朔太郎が憧れた「ふらんす」は、若い頃の自分の憧れでもあった。フ…

🔵映画「海辺の家」*人の値打ちは、引き際、去り際、死に際に現れる*(2001アメリカ)レビュー3.9点

海辺の家 [DVD] 海辺の家(Life as A House)は、2001年に製作された家族もののが好きな人におすすめの映画。 【あらすじ】 建築デザイナーのジョージ・モンローは、父親から譲り受けた海辺の古い家で一人侘びしく暮らしている。彼の家族は、既に再婚してい…

🔴本「これからお祈りにいきます」/津村記久子(角川文庫)*改めて著者の魅力に惚れ直した一冊*レビュー4.3点

これからお祈りにいきます (角川文庫) 好きな女性作家は?と聞かれたら(……誰も聞いてくれないけど)、迷わず絲山秋子と津村記久子の名を挙げる。絲山秋子はその傑出した文学性に惹かれるし、津村記久子はヒロインに投影された作家の人柄に惹かれる。今回の…

🔴本「学生との対話」/小林秀雄講義(新潮文庫)*生きること、学ぶことへの示唆に満ちた、刺激的で感動的な対話集*レビュー4.6点

学生との対話 (新潮文庫) 昭和40年代、小林秀雄の著作は、大学の入試問題によく取り上げられたものだ。とても難解で、手も足も出なかったことだけはよく憶えている。 【内容】 本作は、昭和36年から53年にかけて彼が九州各地で行った学生向けの講演と、その…

🔴本「天使の骨」/中山可穂(集英社文庫)*作者の未完成の魅力を湛えたみずみずしい佳作*レビュー3.7点

天使の骨 (集英社文庫) 中山可穂は、「弱法師」を読んで以来、気になっている作家。同作品集に収録されている中編小説「卒塔婆小町」は、本当によく出来た小説だった。 本作は、作者のデビュー二作目の作品で、デビュー作「猫背の王子」の続編となるもの。 …

🔵映画「永遠のこどもたち」*恐怖と愛に満ちた風変わりなファンタジック・ホラー*(2007スペイン,メキシコ)レビュー4.0点

永遠のこどもたち [DVD] 情熱の国というイメージでありながら意外とシリアスな映画が多いスペイン。本作も美しい街並みなど無縁で、海辺に古い洋館がポツンと建っているだけ。しかもこれがホラーだったなんて……。 【あらすじ】 孤児院で育ったラウラは、障害…

🔵映画「カメレオンマン」*評価の高いウディ・アレンの初期代表作にガッカリ・・・*(1983アメリカ)レビュー3.9点

カメレオンマン [DVD] 作家性(メッセージ性)の強い監督が商業主義のアメリカ映画界で成功するのはかなり難しいようだが、ウディ・アレンはその例外。多作であるにもかかわらず失敗作はほとんどなく、評価は常に安定している。本作は映画通の間ではかなり評…