🔵映画「イーグル・ジャンプ」*挑戦し続けることの大切さを教えてくれる作品*(2016アメリカ,イギリス,ドイツ)レビュー4.3点
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1988年のカルガリー冬季オリンピック。ジャマイカのボブスレーチームと並んて話題を集めたのは、イギリス史上初のスキージャンパー、エディ・エドワーズ。本作は、オリンピックに賭けた彼の情熱的な半生を描いた、実話に基づく物語。「クール・ランニング」も良かったが、この作品もまた素晴らしい。
【あらすじ】
エディは、近視で運動オンチだが、幼い頃からオリンピックへの憧れは人一倍。スキー(滑降?)競技で芽が出なかった彼は、スキージャンプに目を付け、イギリス代表の資格を得るために、ドイツの合宿所へ向かう。そこで彼が出会ったのは、元天才スキージャンパーで、今や只の呑んだくれのブロンソン・ピアリー。エディは嫌がるブロンソンにコーチを頼み込み、いよいよど素人ジャンパーと落ちこぼれコーチ2人のオリンピックへの挑戦が始まる……。
【感想・レビュー】
たとえ他人から嗤われても、馬鹿にされても……一途であることはこんなにも美しい、そう痛感させられる映画。確かにエディはヘンな男。思慮に欠けるし、お調子者だし、大した才能もないし、誰が見ても少々妄想癖のある変わった青年なのだが、彼は自分を信じ、自分の幼い頃からの夢を諦めない。この映画を観て改めて思うのは、人生の夢が叶うかどうかは、資質や才能以前に、自分を信じることができるかどうかにかかっているということ。もっとも、自分を信じられるというのも一つの才能かもしれないが……。
そして、そんな才能を持った人がもう一人。我が子の無鉄砲な夢をいつまでも応援し続けるエディのお母さん。この母の愛には泣かされる(なんて愛情豊かで肝の座ったお母さんだろう!)。世界中からどんなに呆れられても、エディを無条件で信じるお母さんは、この映画の中で一番魅力的なキャラクターだと思う。
また、スキージャンプ仲間で只一人、エディを認めてくれた世界最年少チャンピオン、マッチ・ニッカネン(フィンランド)のセリフも印象的。
『俺と君は時計の1時と11時みたいなもの。遠いけど他のやつらより近い。勝ち負けにこだわるのはザコだ。俺たちは魂を解き放つために飛ぶ。今日、歴史を作るのは俺たちだけ。世界中が見ている中でベストを出せなきゃ、俺たちの魂が死ぬ。……永遠に』。常に高みを目指す人の言葉は、力強くて、美しい。
一途であること、努力すること、諦めないこと……日常に流されがちな我々に、それがいかに大切なことかを、この映画は教えてくれる。エディの挑戦する姿がシンプルに胸を打つ、爽快な一作。