BOOK(歴史小説)
捨ててこそ 空也 (新潮文庫) 【今の時代にこそ読まれるべき一冊】 これは力の籠った良作。真面目で良質、しかも史実にフィクションがほどよくブレンドされた、面白くてためになる小説です。 主役が法然上人でも親鸞上人でもなく、ちょっとマイナー?な空也上…
宇喜多の捨て嫁 (文春文庫) 【乱世の人間を描き切った力作】 これは力作。これだけ重厚感のある歴史小説は久し振りです。この作家、これがデビュー作とか。まだまだいろんな所にいろんな才能が潜んでいるものですね。 ちなみにこの作品、『サラバ!』を抑え…
悟浄出立 (新潮文庫 ま 48-1) 【文学への高邁な志が伝わる短編集】 若い頃私が最も耽溺した日本の作家は、梶井基次郎と中島敦です。和漢洋に精通した夭折の天才、中島敦の格調高い文体に一瞬で魅了され、全集を探し回った記憶があります(結局、カネがなくて…
群青のとき (角川文庫) 【混迷の現代にも通じる物語】 幕末の動乱期、日本を開国へと導いた老中阿部正弘の熱き人生を描いた本格歴史小説。 【あらすじ】 代々幕府の老中職を輩出している名家(福山藩主)に生まれた阿部正弘は、幼い頃から将来を嘱望され、25…
小旋風の夢絃 (講談社文庫) 【作者の熱い想いが籠もったエンタメ歴史小説】 紀元前の乱世を生きた人々の鼓動が聞こえてきそうな活き活きとした描写が印象的。ダイナミックでエネルギッシュだが、読後感は清潔で爽やか。 小説現代長編新人賞受賞作。 【あらす…
一茶 (文春文庫) 小動物を愛する好々爺……小林一茶にはそんなイメージを抱いていたが、この本を読んでイメージ崩壊。まさかこんなにしたたかなオヤジだったとは! 【あらすじ】 本作は、江戸中期から後期にかけて、俳諧師として活躍した一茶の波瀾に満ちた生…