BOOK (ミステリー)
聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス) 【悪魔の証明に挑むドン・キホーテ】 いやぁ、ユニークなミステリーですねぇ。面倒臭いけど、面白い。 浮世離れした登場人物たちが繰り広げる、侃々諤々の推理合戦。奇蹟の実在を証明するために人知の…
妖怪博士: 私立探偵 明智小五郎 (新潮文庫nex) 【“よいこ”のための探偵小説】 ぼ ぼ ぼくらは少年探偵団 勇気リンリン瑠璃の色♪……(少年探偵団の歌)、懐かしいなぁ。鼻タレ小僧だった頃、よく歌ってました。ラジオで流れてたのか、それともテレビで観てたの…
アルキメデスは手を汚さない (講談社文庫) 【共感度は50%?】 私の学生時代にちょっとしたブームになった小説です。気にはなっていたのですが、当時は、流行り病みたいにロシア文学にかぶれていたので、手にするのがすっかり遅くなってしまいました。 私、…
致死量未満の殺人 (ハヤカワ文庫JA) 【凝った趣向と文学的表現が魅力のミステリー】 第3回アガサ・クリスティー賞受賞作。 タイトルだけで、毒殺トリックと想像はつきますが、展開は想像以上に複雑。 精巧なディテールと二転、三転のドンデン返しでなかなか…
雪冤 (角川文庫) 【社会派小説としてはよく出来た小説】 第29回横溝正史ミステリ大賞受賞作。 死刑制度と冤罪という重いテーマに正面から取り組んだ社会派ミステリー。 作者の想いが籠もった力作です。ただその想いが強すぎるためか、ストーリーが膨らみすぎ…
屍人荘の殺人 【噂に違わぬ面白さ!前代未聞のミステリー】 なんちゅう奇抜な設定でしょう。ここまでブッ飛んだ小説は久し振り。とにかく、キャラよし、アイデア(トリック)よし、プロットよしで、とことん楽しめるミステリーです。 この作家、これがデビュ…
崩れる脳を抱きしめて 【純度の高い恋愛ミステリー】 2018年本屋大賞ノミネートの10作品が店頭に並んでいたので、数冊仕入れてまいりました。どれも結構分厚いので、1日1冊というわけにはいかないだろうと思いますが、頑張って読破して、できるだけ記憶が…
新装版 影踏み鬼 (双葉文庫) 【鮮やかなどんでん返し】 切れ味鋭い文体、緻密な構成、意表を突く結末、どれをとってもハイレベルな、乱歩賞作家による表題作外4篇を収録した短編集。 人間の業の深さを思い知らされる、ホラーに限りなく近い時代ミステリーで…
ロートレック荘事件 (新潮文庫) 【難敵、叙述トリック】 これは評価の分かれるミステリーだと思います。なんかズルい、と思う人もいれば、これは鮮やか、と唸る人もいるでしょう。ただ、どちらにしても、“一気に読ませる”という点では、さすが巨匠という感じ…
神様ゲーム (講談社文庫) 【神様というより死神!?】 見た目は児童書風の体裁ですが、結構ショッキングな内容なので、お子様にはとてもオススメできないミステリーです。 しかし、神様を名乗るクラスメイトの鈴木君の不気味な存在感が光っていて、一気に読…
大相撲殺人事件 (文春文庫) 【常識の斜め上を行く奇天烈ミステリー】 私、奇書と呼ばれる部類の本は結構好みです。この本も、帯の『伝説の奇書が大復活』という謳い文句に惹かれて購入しました。 『奇書』のジャンルでは、若い頃読んだ『死霊/埴谷雄高』『…
出版禁止 (新潮文庫) 【コテコテに凝った趣向のミステリー】 「裏切られた!!こんな経験二度としたくない!」という本仮屋ユイカ嬢の帯の触れ込みに惹かれて購入。 ……で、ユイカ嬢の絶叫は分からないではないが、少し大袈裟なような気もする。 ミステリーと…
. 今夜は眠れない (角川文庫) 【安心して読めるミステリー】 中学生の主人公の軽妙な語り口が楽しい、ライトなミステリー。出来は平凡だと思うが(失礼!)、作者の余裕とサービス精神を感じる一冊。 【あらすじ】 平凡な家庭に暮らす中学1年生の緒方雅男。…
暗黒女子 (双葉文庫) 【新時代のイヤミス】 斬新な構成、凝った趣向、そして驚愕の結末に作者の確かな才能を感じる、新時代の“イヤミス”。 内容はどす黒いが、一種独特の耽美的な趣もあって、不思議と不快感はない。 たまにはこういうテイストの物語も悪くな…
湖底のまつり (創元推理文庫) 【大人による大人のためのミステリーロマン】 ダム建設に伴って湖底に沈む山里の古色蒼然とした寒村を舞台に、3人の魅惑的な女性が織りな愛と幻想の物語。 作者の冴えわたる職人技に感嘆の一作。 【あらすじ】 傷心を癒やすた…
もう年はとれない (創元推理文庫) 【食えないじいさんの痛快ハードボイルド】 ナチの将校が隠した金の延べ棒の行方を追う伝説の元刑事の活躍を描くハードボイルド系ミステリー。 【あらすじ】 87歳の元殺人課刑事のバック・シャッツは、戦友の臨終に立ち会っ…
【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ) 【前代未聞の活人事件】 余命宣告を受けたがん患者のがんが、きれいに消えてしまう……。死ぬはずの患者が生き返るという前代未聞の活人…
マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM) 【酔っ払いメイドVSサイコキラー】 裕福なマーチ博士一家の住み込みメイド、ジニーと、一家に潜む謎の快楽殺人鬼との息詰まる攻防戦を描いたフランス人女性作家によるホラー系ミステリー。 【あらすじ】 マーチ家に…
占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫) 松本清張らの社会派ミステリーが主流だった1980年代に忽然と世に現れた傑作ミステリー。当時は異端扱いされ、ミステリーの進化を逆行させるとまで言われた作品らしいが、様々なサブジャンルのミステリーが乱立する今…
大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫) 82歳の大金持ちのおばあちゃんが誘拐された。その身代金はなんと100億円! 空前のスケール感、予測できない展開、卓抜なユーモア、存在感のあるキャラクター、そして意外な結末……どれをとっても第一級のエン…
母性 (新潮文庫) 人間の心の奥底に潜む「悪意」をこれだけうまく切り取って見せてくれる作家はそうはいないだろう。悪意のオンパレードの後に善意の存在を示して読者を救う手口はこの作家の常套手段だが、つくづくうまいなあと思う。「告白」も印象深いが、…
真昼の悪魔 (新潮文庫) 「沈黙」が映画化され、本作がTV放映されるなど、今、遠藤作品が脚光を集めている。ブームなのだろうか。本作が書かれたのは昭和55年。何故今、遠藤周作なのかは、よく分からないが。 ちなみに、学生当時、「第三の新人」が全盛だった…
ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫) 本作は、古書を題材(ネタ)にしたミステリーシリーズの完結編。 各巻でネタとなった書物はどれも興味を惹かれるものばかりで、その渋いチョイスに唸らされ(「おっと、そうきた…
真実の10メートル手前 「満願」も「王とサーカス」も良かったが、自分のどストライクは、「儚い羊たちの祝宴」。江戸川乱歩、夢野久作、中井英夫ら以来、幻想と耽美の世界を堪能させてくれる作家が意外と少ない中で、この作品は自分のツボにピッタリはまる貴…
暗幕のゲルニカ 傑作「楽園のカンヴァス」を彷彿とさせるアートミステリー。今回のモチーフはピカソの『ゲルニカ』。いくら十八番とは言え、あえて巨匠ピカソをチョイスしたところに、この作品に賭ける原田マハの並々ならぬ覚悟が感じられる。 【あらすじ】 …
不安な童話 (ノン・ポシェット) 本作は、不思議な透視能力を持つ女性(古橋万由子)が、25年前に変死した女性画家(高槻倫子)の殺人事件の謎に巻き込まれていく様を描いたミステリー。 【あらすじ】 ……大学教授秘書の万由子は、かつて天才画家と謳われた高…