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🔵映画「海辺の家」*人の値打ちは、引き際、去り際、死に際に現れる*(2001アメリカ)レビュー3.9点

海辺の家 [DVD]

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海辺の家(Life as A House)は、2001年に製作された家族もののが好きな人におすすめの映画。

【あらすじ】

建築デザイナーのジョージ・モンローは、父親から譲り受けた海辺の古い家で一人侘びしく暮らしている。彼の家族は、既に再婚している元妻と16歳のヤク中の息子サムだけ。ある日、ジョージは長年勤めていた建築会社を突然クビになり、その上、病院で余命3ヶ月の宣告を受ける。人生でやり残したことを考えたジョージは、嫌がるサムを無理やり自分の家に連れて来て、家の建て替えの手伝いをさせようとする……。

【感想・レビュー】

静かで力強い映画。人生の締めくくりに家を建てることを決意したジョージの想いが丁寧に描かれているところ、そして、家が出来上がっていくにつれ、バラバラだった家族の絆が深まっていく様がごく自然に描かれているところが、いい。そこに悲しみを上回る強い家族愛が感じられて、爽やかな印象を残す作品に仕上がっている。

印象的なシーンは、ジョージと元妻が黄昏のテラスで、名曲「青春の光と影(たぶん)」をバックに踊るシーン。これは綺麗な絵だった。ケビン・クラインが渋くていいし、クリスティン・スコット=トーマスも凛として美しい。脇役で印象的なのは、隣の家のちょっとおマセなお嬢さん。その小悪魔的溌剌さは、ジョージの「死」に対して、強く「生」を主張しているかのようにも見える。

ただ、内容の割には、尺が少し長すぎる。あまり意味のないシーン(隣の家のご婦人の火遊びシーンとか)や都合が良すぎるシーン(近所の人が家作りを手伝うシーンとか)などがいくつか見られるので、それらをカットして90分ほどにまとめたら、もっといい作品になっただろうに、と少し残念(年寄りはせっかちなのだ)。

人の値打ちは、やっぱり引き際、去り際、死に際に現れるもんだな、としみじみ感じ入る一作。