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🔵映画「花様年華」*パッションと退廃感を鮮烈に表現した、なかなかの秀作*(2000香港)レビュー3.9点

花様年華 [Blu-ray]

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ウォン・カーウァイ監督の特徴は、その独特の色彩感覚。「欲望の翼」も「恋する惑星」も、原色を基調とした油絵のような色彩設計でパッションと退廃感を鮮烈に表現した、なかなかの秀作だったと思う。本作でもそのイメージは変わらない。

【あらすじ】

舞台は1960年代の香港。新聞社の編集者チャウ(トニー・レオン)と商社勤めのチャン(マギー・チャン)は、同じアパートに同じ日に引っ越してきた隣人同士。引っ越し後まもなく、二人はお互いの伴侶が不倫関係にあることを知る。同じ悩みを共有する二人は次第にその距離を縮めていき、やがて強く惹かれ合うようになるが、あくまで貞淑な家庭人の二人は一線を越えられない。チャウはそんな二人の関係にピリオドを打つように、シンガポールへの出国を決意する……。

【感想・レビュー】

やっぱりマギー・チャンはいい。それほど綺麗というわけではないが、表情や仕草、立ち姿に何ともいえない艶があって、どこか儚げでありながらも妖しい色香を放って、観る者を魅了する。また、トニー・レオンも色っぽい。二人が並んで佇む絵だけでも、匂い立つような色香が漂って、ドキドキさせられる。二人の切ない想いを駆り立てるようなチェロの響きも、ムーディで扇情的(この監督、音楽の使い方が本当に上手い)。

後半の展開が速すぎるためか、いくつか謎(盗まれたスリッパや石柱に顔を埋めるチャウの行為の意味、チャンと同居する子どもの素性など)の残る映画だが、それらの謎を反芻したとき、二人の想いの強さに驚愕し、運命の非情や時の無常に深く感じ入る。

やっぱり、成就しない恋は美しい。

 

【注】マギー・チャン主演の「ラヴソング」(1996香港)は恋愛映画の最高傑作だと思います。オススメです。

 

www.eiga-hon.com