お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

🔵映画「欲望のあいまいな対象」*傑作と思いきや、ク〇映画・・・・!?*(1977フランス, スペイン)3.2点

欲望のあいまいな対象(1977) [DVD]

欲望のあいまいな対象(1977) [DVD]

鬼才ルイス・ブニュエル監督の遺作。正直なところ傑作なのかクソ映画(失礼!)なのか判断しかねるが、直感で言うなら、クソ映画(度々失礼!)。

【あらすじ】

ブルジョワの中年紳士が10代の美女に一目惚れ。金の力に物言わせしつこく迫るが、女もさるもの、男に気を持たせてはスルリとかわし、金をせしめるだけせしめて男の気持ち(欲望)に一向に応えようとしない……。

【感想・レビュー】

本作は、追われては逃げ、追われては逃げの、男女が織りなす不毛の循環を皮肉たっぷりに描いたブラックな寓話。

妙にひねくれた文章題を出され、「作者は何を言いたいのか○○字以内でまとめよ」と言われたときの気分に何となく似ている。女に翻弄される男の愚かさか、男を弄ぶ女の残酷さか。ブルジョワジー批判か、キリスト教批判か。それとも愛の不条理か。何かもっと深いところを突いているような気はするのだが、一度観た位ではその正体はつかめない(かといってもう一度観る気はしない)。そもそも小悪魔的美女コンチータをなぜ二人一役で演じさせたのか、その意図すら分からない。……女の二面性を際出させるため、といった単純な理由ではなさそうだし、タイトルから察すると、色欲に溺れてしまうとその対象(相手の女)すらあいまいになるという皮肉を表したものと見るのが近いような気もするが……うーん、どうなんだろう。

観る者の混乱に監督の哄笑が聞こえてくるような、いまいましい映画(ただし、不埒な映画に蹂躙されたい向きにはオススメかも)だが、唯一愉しめるのは、監督の女性観。

この監督、ずっと女性に痛い目に遭ってきたに違いない。そう思うと少しは溜飲が下がる。