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🔵映画「母なる証明」*ポン・ジュノ監督に脱帽した凄いサスペンス映画*(2009韓国)レビュー4.0点

母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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ポン・ジュノ監督の「ほえる犬は噛まない」と「グエムルー漢江の怪物ー」を観たとき、そのシュールさとダイナミックさにたまげて、ブッ飛んだ。そして「殺人の追憶」。これはもう、凄いとしか言いようのない映画だった。

【ストーリー】

本作は、殺人容疑で逮捕された息子を救うため、なりふり構わず事件の真相解明に奔走する母親の姿を描いたサスペンスドラマ。

【感想・レビュー】

かの国の血の熱さと濃さが窺えるような濃密で凄絶なドラマで、そこに描かれる母親の息子への愛は、溺愛のレベルを遙かに越え、もはや狂気のレベル。そのおぞましさにドン引きしながらも、緊張感に満ちたスリリングな展開に惹き込まれ、一気にエンディングまで持っていかれてしまう。ポン・ジュノは映画(のツボ)というものを本当によく知っている。

ところで、チャップリンは「キッド」の中で『女の罪は、母であること』と言った。ポン・ジュノは、本作でそのダークな一面を描きたかったのではないかという気がする。母親の息子への狂気の愛(息子を守るためには犯罪さえ厭わない!)を描くことで、母親が宿命的に内包しているもの……業と言い換えてもいい……を炙り出し、その救いがたい母親の業こそが「母なる証明」である、という痛烈な皮肉を表現したかったではなかろうか。

深くて暗い井戸の底を覗き込むような映画。そのテイストは、ホラーに近い。