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🔵映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」*人間の尊厳や人間の限りない可能性を感じられるオススメ作品*(2014フランス)レビュー4.4点

奇跡のひと マリーとマルグリット [DVD]

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これは好きな映画。オープニングからエンディングまでウルウルしっ放し。ホンモノの感動なのか、トシのせいで涙腺が弱くなっているのかよく分からないが、とにかく単純に好きと言える映画。

アン・バンクロフト、パティ・デューク共演の「奇跡の人(1962アメリカ)」のリメイク版かと思いきや、本作は、フランスに実在したマリー・ウルタンという少女をモデルにした映画。目と耳に障がいのあるマリーの心の成長と彼女の師マルグリットの献身的な愛、そして二人の永遠の絆が描かれている。ちなみに、マリーはヘレン・ケラーとほぼ同世代(19世紀後半の生れ)の人。

【あらすじ】

ある日、聴覚障がいの少女たちを預かる修道院に、耳と目が不自由な少女マリーがやってくる。躾も教育もされていない野生児のようなマリーを見て院長は、引受けを拒むが、マリーの中に魂の輝きを見たシスター・マルグリットは、院長の反対を押し切ってマリーを引き取り、面倒を見始める。しかし、何ヶ月たっても、マリーに変化は見られない。そして……不治の病に冒され、精魂尽き果てたマルグリットがマリーの教育を諦めかけた頃、ついにマリーが言葉の存在を知る日がやってくる。

【感想・レビュー】

マリーを演じたアリアーナ・リヴォアールの演技が素晴らしい。暗闇と無音の世界で本能のまま生きてきた少女が、言葉を知ることで感情や知性を獲得してゆくプロセスを、彼女は、表情と体の動きだけでありありと表現している。大好きな両親やマルグリットに触れるときのぎこちない指の動きやラストの生き生きとした豊かな表情……それを観るだけでマリーの想いのすべてが伝わってきて、温かく爽やかな感動で満たされる。また、マルグリットを演じたイザベル・カレもいい。優しく清らかで一途な性格の中に、人間的な弱さやコミカルな一面も覗かせて、この映画の雰囲気を随分明るいものにしている。そして、フランスの田舎の風景の美しさ。修道院へと続く並木道、修道院の周りの森や小川、群生する草花が柔らかな陽光に映えて、生命の輝きを静かに見守っているようにも感じられる。

マリーとマルグリットの生き方を通して、人間の尊厳や人間の限りない可能性など、大切なことを教えられ、生きる歓びや人生への希望が湧いてくる映画。やっぱり人間って凄い、とつくづく思う。

これはみんなに観てほしい映画。観れば何かを感じ、考えるはず。そして、多くの人たちが同じ想いを共有できれば、ハンディキャップを持った人たちを含め、もう少し生きやすい世の中になるような気がするのだが……。