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🔵映画「ブリッジ・オブ・スパイ」*脚本がコーエン兄弟、監督がスピルバーグ、主演がトム・ハンクスなら当たりかも...?*(2015アメリカ)レビュー4.2点

ブリッジ・オブ・スパイ [Blu-ray]

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脚本がコーエン兄弟、監督がスピルバーグ、主演がトム・ハンクスなら当たりかも……ということで、迷わずゲット。結論から言えば、期待以上の出来で、満足の1本。

本作は、東西冷戦下、米ソ間で行われたスパイ交換のミッションに当たった弁護士の苦闘を描いた、実話に基づくサスペンスドラマ。

【あらすじ】

1950〜1960年代の米ソ冷戦の只中、ニューヨークの法律事務所で働く弁護士、ジム・ドノヴァンは、アメリカで捕らえられたソ連のスパイ、ルドルフ・アベルの弁護を引き受ける。反ソ感情に覆われた世論はアベルの極刑を望むが、ドノヴァンの奮闘によって彼は命を救われる。その後、ソ連上空を偵察飛行中の米軍パイロットがソ連に捕らえられる事件が発生。事態を憂慮したアメリカ政府は、極秘理にパイロットとアベルの人質交換を画策し、ドノヴァンにその交渉を依頼する……。

【感想・レビュー】

米ソ冷戦当時の一触即発の緊迫感が見事に再現された映画。東ベルリンの疲弊した市民の姿や殺伐とした街並みの映像、米国民の反ソ感情や核戦争への恐怖心の描写などに圧倒的なリアリティがあって、ベルリンの壁の建設やキューバ危機当時の、重苦しい時代の雰囲気がひしひしと伝わってくる(このあたりの映像表現は、さすがスピルバーグの感がある)。

取引を巡る米、ソ、東独の駆け引き、交渉人同士の丁々発止の応酬など、見どころは多いが、印象的なのは、平凡だが勇敢な弁護士、ドノヴァン(トム・ハンクス)と自国に忠誠を誓う老スパイ、アベル(マーク・ライアンス)との国境や国益を超えた友情。口の重いアベルがドノヴァンを『不屈の男』と称えるシーンは、親愛の情が滲み出ていて、心に沁みる。

トム・ハンクスは相変わらずの安定感。アメリカのよき市民、よき家庭人の役柄がこれほど似合う俳優はそういないだろう(亡くなったロビン・ウィリアムズと双璧だと思う)。しかし、今回光っているのは、マーク・ライアンス。枯れて飄々とした雰囲気に人生の年輪を感じさせて、なんとも味のあるじいさんだ。「ジジイがカッコいい映画は間違いない!」……誰かがそんなことを言っていたが、そのとおりだと思う。

実話ならではのリアリティを感じさせる、見応えのあるサスペンスドラマ。現代史の裏側を理解する上でも貴重な作品だと思う。