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🔵映画「ビューティー・インサイド」*中身は至って真面目で好印象な作品*(2015 韓国)レビュー4.0点

ビューティー・インサイド [Blu-ray]

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毎日、容姿が変わる恋人??……いかにも韓国映画らしい奇抜な設定のラブストーリーだが、中身は至って真面目な作品。ツッコミどころもなくはないが、恋人たちの哀歓を繊細かつ丁寧に描いているところが好印象。

【あらすじ】

家具デザイナーのウジンは18歳のときから、日々、容姿が変わるという特異体質になる。朝、目覚めると、老若男女、はては外国人まで様々な人間に変わってしまうことから、普通の暮らしが出来ず、ネットを使って生計を立てている。そんなウジンが家具専門店で働く美しい女性、イスに恋をした。ウジンは、若いイケメンの姿になった日にイスに声をかける。イスとのデートを続けるため3日間徹夜したウジンだが、うっかり電車で寝入ってしまい、目覚めたらハゲ頭の中年男の姿に……しかし、どうしてもイスを諦めきれないウジンは、ある日、若い女性の姿のままイスに会いに行く……。

【感想・レビュー】

イスを演じるハン・ヒョジュの清楚な美しさが光る一作(彼女を眺めているだけであっという間の127分!)。「日々容姿が変わる男?を愛してしまった女」という、かなり無理筋のシュチエーションにそれほど違和感なく入り込めるのは、彼女の美しさと演技力にそれだけの説得力があるからだろう。将来が見えない恋愛へのイスの葛藤や苦悩、刹那の歓びなどが、そのときどきの表情からひしひしと伝わって、否応なく切ない気持ちにさせられるのだ(彼女の愁いを帯びた表情は本当に魅力的。キレイな歯並びがのぞく笑顔も素敵だが)

ウジンからプロポーズされたイスは、薬に頼るほど悩み苦しんだ末に、答を出す。それは、「愛するのは人の容姿か心か」という本作のテーマに対する答でもある。

また、本作で興味を惹くのは、「世間体」という問題(いかにもアジア的)。これも本作のテーマの一つなのかもしれない。いつも違った男と連れ立って歩くイスへの世間の中傷、ウジンのことを父や姉に打ち明けられないイスの後ろめたさ……そんなイスの苦しみが情緒的によく分かるからこそ、ラストの感動も格別なのだろう。

ウジンとイスの関係だけでなく、二人の親子、姉妹、友人関係を丁寧に描いているところも評価できる。これらの関係を疎かにしないことによって、この映画のリアリティが格段に増しているような気がする。

ユニークなアプローチで恋愛の本質に迫った一作。ハン・ヒョジュが光っているだけに、上野樹里の役柄はちょっと残念……。