🔵映画「ダーティ・ダンシング」*60年代のアメリカの雰囲気がよく表れた、真っ直ぐで勢いのある青春グラフティ*(1987アメリカ)レビュー4.0点
本作のリメイク版「ダンシング・ハバナ(2004アメリカ)」を観て以来、いつか観てみたいと思っていた映画(たまたまBOOKOFFで発見!)。60年代のアメリカの雰囲気がよく表れた、真っ直ぐで勢いのある青春グラフティ。
【あらすじ】
1963年の夏、家族とともに避暑地を訪れたベイビーは、貧しいダンス教師ジョニーと出会い、恋に落ちる。ある日、ジョニーのダンスの相方が倒れたことから、急遽、代役としてショーに出演することになったベイビー。2人は、ショーに向けてダンスの猛特訓を始めるが、ジョニーを快く思わないベイビーの父親は、2人の交際を禁止する……。
【感想・レビュー】
官能的なダンスと懐かしのオールディーズナンバーがウリの映画だが、シンプルでストレートなストーリーも悪くない(観ていて気恥ずかしくなるところはあるかも)。軸となるのは「身分違いの恋」で、反対するのは、父親。この映画は、裏を返せば、父親(の庇護)との訣別を描いた女の子の成長物語でもある。個人的には、若い2人の恋の行方よりも、娘を持つ父親の複雑な心境の方が気になって、ついつい父親に同情してしまうのだが(でも、このお父さんはなかなか心が寛い)。
映画のクライマックスは、やはりラストのベイビーとジョニーのキレのあるダンスシーンだろう。課題のリフトもバッチリ決まって、一安心。そして、音楽も文句なし。オープニングで流れるザ・ロネッツの『Be My Baby』など、当時の記憶と重なって、感慨もひとしお。
今、振り返ってみると、60年代がアメリカの(白人社会の)絶頂期だったのかもしれない。そう考えると、この映画は、自由で、豊かで、アメリカの正義が単純に信じられていた60年代へのオマージュのような気もするのだが……(「偉大なアメリカを取り戻す」というトランプ発言を意識しすぎているのかもしれない)。
……それはそうと(どうでもいい事だが)、ベイビーを演じたジェニファー・グレイが「レモ/第1の挑戦」(これはB級アクション映画の大傑作!)のチュン老師(ジョエル・グレイ)の実の娘だったとは!チュン老師を敬愛する身としては、なんか嬉しい。