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🔵映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」感想*リアリティ勝負のドキュメンタリー映画*(2008アメリカ)レビュー4.2点

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【若きダンサーたちの熱き闘い】

コーラスライン』や『オール・ザット・ジャズ』など、ブロードウェイを舞台にした映画はいくつか観たことがありますが、この映画はそれらとは似て非なるもの。一応若干の映画的演出は施していますが、あくまでリアリティ勝負のドキュメンタリー映画です。

【あらすじ・感想・レビュー】

1975年ブロードウェイ初演の伝説のミュージカル 『コーラスライン』のリバイバル上演のため、8か月に渡って行われた出演者オーディションの模様を追ったドキュメンタリー。

キャストの枠は19人、応募者は3000人という超難関のオーディションに挑む、才能豊かな若者たち。彼らへのインタビューから、このオーディションに賭ける意気込みや覚悟、一発勝負の緊張感などがひしひしと伝わってきて、観ている側も自然と気持ちが昂ぶってきます(これぞドキュメンタリーの醍醐味です)。

そして、1次、2次と審査が進むたびに明らかになる勝者と敗者。アメリカのショービジネス界の厳しさを実感する瞬間です。しかし、意外にも敗者にそれほどのダメージは見られません。“今日はダメだったけど、いつか必ずブロードウェイの舞台に立ってみせる”、彼らはきっとそんなふうに思っているのでしょう。自分の可能性を信じられるって、やっぱり若者の特権ですね。“アメリカン・ドリーム”という言葉が死語に瀕している今、どうやらブロードウェイだけはその言葉の神通力が生き続けているように感じます。

最終審査の段階になると、彼らの(歌、ダンス、演技の)レベルが凄過ぎて、もう素人の目ではその優劣は全く分かりません。ここまで来ると実力は紙一重、あとは才能と努力と運の全てに恵まれた者だけが天使の後ろ髪を掴めるという世界なんでしょうね。その厳しさに溜息が出ますが、オーディションの審査員のフランクでフレンドリーな態度に救われます。公正な評価に徹しながらも、彼らのコメントの端々に、若い才能に対する敬意や努力する者への愛情が滲み出ていて、さすがアメリカだなあと感心します。

……そんな中、日本人女性の高良結香さん(沖縄出身のアクター&シンガーソングライター)が見事コニー役を射止めたのにはびっくり!失礼ながら、このドキュメンタリーを観るまで、全く存じ上げませんでした。もう後がないというところまで自分を追い込んで、しかも親友とその役を争うという状況での快挙は、ただただすばらしいと思います。彼女の才能とチャレンジ精神に深く敬意を表します。