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🔵映画「オー!ゴッド」感想*信じる者は救われる*(1977アメリカ)レビュー4.2点

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【信じる者は救われる】

古き良き時代の名残りを留める70年代のアメリカ(人)の宗教観を軽妙に描いた作品。荒唐無稽なストーリーながら、切り口がユニークで、語り口もユーモラスなので、宗教に全く関心がない人でも十分楽しめる映画かなと思います。

【あらすじ・感想・レビュー】

デタラメな人間社会に警鐘を鳴らすべく、神様がメッセンジャーとして指名したのは、スーパーの冴えない主任ジェリー。ジェリーは、神様のお告げを世に伝えるため活動を始めるが、誰にも相手にしてもらえない。やがて、ジェリーの行動は宗教界の重鎮の逆鱗に触れ、裁判沙汰となってしまうのだが……。

オトボケキャラの神様と平凡なスーパーの主任が巻き起こす珍騒動の顛末をコメディタッチで描いたファンタジー。

平凡な善人ジェリーに扮するのは、カントリーシンガーのジョン・デンバー。懐かしいです(『カントリーロード(故郷へ帰りたい)』は今でも時々聴いています)。演技の方も意外と?いい感じで、気弱で正直なジェリーを伸び伸びと好演しています。そして、そのジェリーを上回る存在感を示しているのが、神様(ジョージ・バーンズ)。どこにでもいそうな極々ありふれた風体の老人ですが、ウィットに富み、愛嬌があって、とてもチャーミングです。この“庶民的な神様”という設定が、この映画の成功の最大の要因だろうと思います。

この神様、ちょっといい加減で頼りない印象もありますが、そこはなんといっても神様、キメるときにはキメてくれます。例えば……人が生きる意味はなにか?という宗教学会からの質問状に対し、『人は男も女も、その生きる意味は、自分がどういう意味を求めるかで決まる』とか、あるいは、偽善的な宗教家を批判して、『なぜ人間が裸で生まれると思う?わたしは服を作りたくなかったのだ。ポケットに何か入れたくなるから。あの男は偽物だ』とか……なかなか含蓄のある言葉だと思います。

さして信心深くないジェリーが、神様の存在を信じるようになるのも分かる気がします。この映画を観ていると、宗教や信仰の本質は、実は至極シンプルなものかもしれないなあ、なんて思ったりもします。宗教(というより宗教家ですが)には若干抵抗がありますが、名もなき庶民の素朴な信仰心は(シンプルであるが故に)、貴く美しいものだと思います。

……この映画のラスト、神様が法廷でジェリーを弁護するシーンは最高です。やっぱり“信じる者は救われる”ですね。