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🔵映画「ユージュアル・サスペクツ」/(1995アメリカ)感想*一番のワルは誰?凝りに凝った騙しのテクニック*レビュー4.0点

ユージュアル・サスペクツ [Blu-ray]

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【終わってみれば目から鱗】

「ユージュアル・サスペクツ」とは、「日常的な(あるいは、常連の)容疑者たち」という意味だそうです。なるほど、登場人物は皆、札付のワル。でも、一番のワルは誰?というのがこの映画のミソです。一杯食わされないように、どうぞしかと目を見開いてご覧ください。

【あらすじ】

銃器強奪事件の容疑で逮捕された5人の前科者。5人は、釈放後、宝石強盗を企てるが、狙いのブツは手に入らず、しかも宝石商を殺してしまう。戸惑う5人の前に現れたのは、正体不明の伝説のギャング“カイザー・ソゼ”の代理人を名乗るコバヤシという男。コバヤシは、5人の過去の悪事と宝石商殺しをネタに、カイザーの指示に従うよう5人を脅す。その指示とは、カイザーの商売敵による巨額の麻薬取引を壊滅せよ、というものだった……。

【感想・レビュー】

オープニングからエンディングまで息の抜けない、緊張感に満ちたサスペンス・スリラー。

カイザー・ソゼとは一体何者なのか?という謎がこの作品のキモになっています。そして、その謎を解く鍵となる人物がケヴィン・スペイシー扮するヴァーバル・キントという左半身が不自由な小悪党(5人組の1人で、詐欺が専門)。ヴァーバルが刑事に語るカイザーの凄まじい伝説やカイザーの代理人のコバヤシ(日系人じゃなくて白人⁉)の薄気味悪い雰囲気などを見聞きしていると、いやが上にも、まだ見ぬカイザーへの興味が掻き立てられます。

そして、全てが明らかになる衝撃のラスト。なるほどというか、やっぱりというか、結末自体にそれほどの驚きはないのですが、結末が分かることによって、あちこちに散りばめられた仕掛けの意味が浮き彫りになるところが驚きです。なるほどこれなら、“カイザーはなぜ5人組を使って麻薬取引現場を襲撃させたのか?”というもう一つの大きな謎もスッキリします(ついでに、なんで“コバヤシ”なのかも分かります)。また、最後にカイザーの似顔絵をチラつかせるあたりも、次なる結末を予感させて、心憎い演出だと思います。

どこまでも計算づくのこの映画、熟練のマジシャンの完璧なマジックを観ているようです(タネが分かれば目から鱗)。何が真実で何がフィクションなのか、しっかり目を凝らして観てないと置いてけぼりを食らう映画かと思います(過去と現在が頻繁に交錯するので、なお分かりにくくなっているきらいはありますが……)。

それにしても、ケヴィン・スペイシーはうまい役者ですね。これは彼の演技あっての映画だと思います。何が凄いかって……と説明したいところですが、(ネタバレになりそうなので)それは観てのお楽しみということで……(彼が本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞したのも納得です)。