お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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🔵映画「やかまし村の子どもたち」感想*“本当の豊かさとはなにか”を考えさせられる作品*(1986スウェーデン)レビュー4.1点

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【メルヘンの世界】

季節は夏。野原一面の花、森を渡る鳥の囀り、雪解け水を湛えた湖……スウェーデンの自然ってホントに豊かですね。そんな美しい自然の中で無邪気に戯れる子どもたち。彼らがイタズラ好きの妖精のようにも見えて、なんだかメルヘンチックな気分になってしまいます。

【あらすじ・感想・レビュー】

スウェーデンの地方にある小さな集落“やかまし村”に住む3人の男の子と3人の女の子の夏休みの日々を描いたノスタルジックな物語。

わずか数軒の家しかない“やかまし村”。未舗装の道は馬車が通る度に土埃が舞い上がります。それぞれの家で豚や鶏、ウサギなどを飼い、村人総出で農作業やザリガニ捕り。収穫時には、全員揃って、原っぱで食事をしたり、アコーディオンに合わせて踊ったりと、本当に長閑で平穏な暮らし振りです。日本のあくせくした日常や窮屈な人間関係を考えると、余りにも牧歌的で、これはユートピアか?と思ってしまいます(……多少不便なユートピアかもしれませんが)。

子どもたちは大人に干渉されることもなく、全員で、雪解け水が溜まった田圃で海賊ごっこをしたり、夜中にこっそり家を抜け出して妖精探しに出かけたり、納屋の干し草に包まって一夜を過ごしたり……ときには農作業の手伝いや買物のおつかいもしながら、自由気ままに夏休みを謳歌します(スウェーデンに蚊がいること、子どもたちが裸足で駆け回っていることにびっくり!)。

しかし、子どもって、どこの国でも遊びの天才なんですね。ゲームやスマホなんかなくても、自然さえあればいろんな遊びを考え出すものです(私も幼い頃、近所の子どもたちと道路、田圃、竹藪、溜池などで暗くなるまで遊んでいた記憶があります)。そういった子ども時代の空想力や想像力って意外と後々為になるような気もするのですが……。この映画を観ていると、(誰のせいでもないのでしょうが)子どもが自然の中で遊べないって不幸なことなんだなとしみじみ思います。

この映画、事件らしい事件もなく、子どもたちの日常を淡々と描いているだけなので、単調すぎて退屈と思う向きもあるかもしれませんが、私はこのスローな感じは結構気に入っています。まあ、多少退屈に感じたとしても、“人にとって本当の豊かさとはなにか”を考えるいいきっかけにはなるかと思います。