お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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🔵映画「アラサー女子の恋愛事情」/(2014アメリカ)感想*女優は一流、タイトルは三流、内容は……?*レビュー3.7点

アラサー女子の恋愛事情 [DVD]

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【アラサー女子が見つけた本当の居場所】

正統派美人のキーラ・ナントレイと典型的かわい子ちゃんのクロエ・グレース・モレッツの共演、これを見逃したらポックリ逝く時に後悔しそうと思って、迷わずゲット!

いい年こいて、とドン引きされそうですが、ハートは17歳!、色即是空の境地なんてまだまだ先の話ですw

で、中身はというと、二人とも等身大の役柄を伸び伸び演じてる感じがして、ヒロインは良し。ストーリーもまあまあ。ちょっと軽くて薄い印象を受けるのが惜しいところですが、自分の居場所を探す若い女性の話なので、同世代の女子の支持は得られそうな気がします。

【あらすじ】

定職も持たず恋人との関係も中途半端で、流されるままに怠惰な日々を過ごす28歳のメーガン。周りの友人は皆、仕事に結婚と、幸せになっていくのに、自分の居場所はなかなか見付からない。

そんな頃、恋人から突然プロポーズされたメーガンは、喜びは感じつつも何故か戸惑いを隠せない。そして、彼女は、その場から逃げ出すように、夜の街で偶然知り合った16歳の高校生・アニカの家へ転がり込む。

アニカは弁護士の父との二人暮し。一見明るく振る舞うアニカだが、母親から棄てられた苦い記憶が彼女を苦しめていた。

そんな娘を厳しくも温かい眼差しで見守る父親のクレイグ。クレイグはメーガンとアニカの関係を訝しく思いながらも、メーガンを温かく迎え入れる。

そしてメーガンは、クレイグとの出会いによって自分の人生に大きな転機が訪れたことを知る……。

【感想・レビュー】

アメリカ人ってしょっちゅうパーティーやってるイメージがありますが、この作品もやたらパーティーのシーンが多いですね。出不精で人付き合いのよくない私なんかからすると、パーティなんて罰ゲームというか、ほとんど拷問に近いイベントにしか思えません(ああ、日本人で良かった!……しかし、なんで日本にはパーティ文化が根付かないんでしょうか?一考の余地はありそうです)。

で、嬉しいのは、メーガンもパーティで浮いてるところ。内向的(内省的)なアメリカ人を見ると、なんだかちょっとホッとします(キーラはイギリス人なんですが)。もっとも、彼女の置かれている状況を考えると、確かに浮かれてる場合じゃないのかもしれませんが……。

この映画を観ていると、“アラサー女子の生きづらさ”みたいなものがよく伝わってきます。仕事のキャリアとか結婚とか出産とか、切実で悩ましい問題がいろいろあって、男には推し量れないプレッシャーがあるんだろうなと思います。

まあ、ノーテンキ男の自分としては、先の事をアレコレ悩んだからといって人生が好転する訳でもなし、“いきあたりばったりでいいんじゃね”なんて、つい思ってしまうのですが、そういうところが、決断を迫られる場面が少ない男の安易な言い草なんでしょうね。だからこそ逆に、自分の居場所を必死に探すメーガンの生真面目さや不器用さが愛おしく思えるのかもしれません(単に美人に弱いだけかも?)。

不器用と言えば、アニカも同じ。下着モデルの母親から下着をもらって、“プロムで着る下着がほしかったの”、なんて言うときの、あの表情。自分を棄てた母親なのにどうしても憎みきれない娘の複雑な胸中がチラッと垣間見えて、その健気さにうるっときてしまいます(クロエちゃん、ホントにいい女優になりました。キック・アスの頃からそっと見守ってきた甲斐があるというもんです)。

ニクイのはクレイグ。“高校生の頃、最もガソリンスタンドが似合う男と呼ばれていた”から始まるほんの10数秒の自己紹介。自分の半生をユーモアたっぷりにたった10数秒で要約してしまう、そのインテリジェンスがカッコいいですね。で、年輪を重ねた男特有の適度のくたびれ感もあって、メーガンがよろめくのも無理ないなあと思います。そんなにイケメンでもないのに、粋で渋くてダンディで、アメリカのインテリ中年、恐るべし。

この作品、俳優は一流、タイトルは三流、で、肝心の内容は、(少し薄くて物足りないので)一流半といったところでしょうか。

……それにしても、メーガンの恋人はかわいそう。何にも悪い事していないのに。なんかこの役回りだけは、切実に、かつ激しく同情します。泣くな青年、きみには未来がある……たぶん。