🔵映画「gifted ギフテッド」/(2017アメリカ)感想*アメリカ版“そして父になる”*レビュー4.1点
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【スタッフの真心が感じられる秀作】
ギフテッドとは、「先天的に高度な知的能力を備えた人」のこと。
これはフツーに良い映画。
親権を扱った映画としては、良く言えばオーソドックス、悪く言えば無難な作りなんですが、飾り気がなくて素朴、あざとさがなくて誠実。
“号泣映画”とはまた違った、しみじみとした感動があって、良い映画を作りたいというスタッフの真心が感じられる、なかなかの秀作だと思います。
【あらすじ】
フロリダに住む独身のフランクは、姉の自殺を止められなかったことへの償いの気持ちから、姉の一人娘・メアリーを引き取って養育している。
天才数学者だった姉の血を引くメアリーもまた数学のギフテッドで、その才能に驚いた校長はフランクに対し、メアリーには特別な教育を受けさせるべきと主張し、転校を強く勧める。
しかし、メアリーを普通に育てるという姉との約束を守るため、フランクはこれを拒み続けていた。
やがて、校長から話を聞きつけたフランクの母(メアリーの祖母)・イブリンが二人の前に現れ、娘が果たせなかった夢を孫に託そうと、メアリーの引取りを画策する。
メアリーの親権を巡る裁判が始まり、敗色濃厚となったフランクは、イブリン側が提示した和解条件を呑んで、メアリーを里子に出すことに同意する。
しかし、裁判後、イブリンが和解条件を守っていないことに気付いたフランクは、メアリーを取り戻すため、イブリンにある条件を提示する……。
【感想・レビュー】
数学に並外れた才能を発揮する7歳児のギフテッド・メアリーの親権を巡る対立とその結末を描いたヒューマンドラマ。
この作品、ストーリーがありきたりなだけに、俳優陣の演技と製作スタッフの熱意に支えられて成功した映画かなと思います。
祖母のイブリンを除いて、みんな善い人ばかり。それにしても、年寄りってなんであんなに意固地なんでしょうか(人のことは言えませんが……)。自分の人生を否定されたくない気持ちは分からなくもないけれど、子や孫にまで自分の考えを押し付けるなんて、ホントに迷惑な○○ババア(失礼!)です。
一方のフランクはそんな母親ともキレずに付き合える、なかなかデキた息子(ん、この陰のあるイケメンは?と思ったら、なんとキャプテン・アメリカくんでした)。何がメアリーにとって最善なのか、いくら考えても確信が持てず、悩んだり迷ったりしながら子育てに奮闘するフランクの姿にかつての自分を重ね合わせて、激しく共感しましたw
そして、メアリー。泣いても笑っても、怒っても拗ねても、もう何をしても可愛いですね。爺様はメロメロしっ放しw将来どんな別嬪さんになるのやら、今から楽しみです。
そんなフランクとメアリーを温かく見守る隣人のロバータと担任教師のボニー。この二人がホントに親切。あまりの善い人ぶりになんか泣けてきます。アメリカ人が理想とする寛容さって、きっとこんなイメージなんでしょうね。
忘れられないシーンもいくつかあって、特にフランクとメアリーとロバータが病院で他人の出産を見守るシーンは、観ているこちらまで幸せな気分になります。そうそう、みんな愛されて生まれてきたんですよね。こんな気遣いができるなんて、フランクはもう立派な父親です。
祖母のイブリンはホントに嫌な婆さんだけど、彼女の立場で考えてみると、確かに天才児を普通に育てるのが本人にとって幸せなのか、という疑問も感じます。フランクとイブリン、それぞれの主張の間を採ったようなラストは、予定調和的というか、出来すぎという気がしないでもないですが、生き生きとしたメアリーの表情を見ていると、ああ、やっぱりこれで良かったんだ、としみじみ思います。
この作品、最高とまでは言えないけれど、大好きな映画の一つです。