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🔵映画「奇跡のチェックメイト」/(2016アメリカ)感想*いい話なんだけど……ちょっと残念な気がする感動の実話*レビュー3.7点

奇跡のチェックメイト - クイーン・オブ・カトゥエ - DVD

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【ちょっと残念な感動の実話】

ウガンダ共和国のスラム街でチェスと出会い、チェスを通じて夢を掴んだ少女を描いた実話に基づくヒューマンドラマ。

さすが安定のディズニー映画。多少重たい話でも、安心して観ていられるのがいいですね。でも、なんかあっさりしすぎてるというか、物足りないというか……。ストーリーは濃いのに作りが薄いって感じですかね。

もっとも、そういうところがディズニー映画のカラーなのかもしれませんが。

【あらすじ】

ウガンダ共和国の首都カンパラのスラム街カトゥエに住む少女フィオナは、貧しい母子家庭に育ち、とうもろこしを売りながら家計を助けていた。

ある日彼女は、弟が通っているチェスクラブに顔を出し、コーチのロバートからチェスの手ほどきを受ける。たちまちチェスに魅せられた彼女は瞬く間に天賦の才能を開花させ、やがて史上最年少の14歳でウガンダ共和国代表に選出される。

夢は世界へ。フィオナは貧しい生活から抜け出すために強い決意で世界大会に臨むが、手痛い敗北を喫し、再び元の生活へ。

フィオナは自分を見失い、チェスへの情熱も失っていくが、ロバートはそんな彼女を懸命に励まし続けるのだった。

果たしてフィオナは再び希望の光を取り戻せるのか。

【感想・レビュー】

貧しいけれど誇り高く気丈なお母さんと、スラムの子どもたちのために献身的に尽くすコーチのロバート……この二人がいいですね。

特にロバートは掛け値なしの善人。彼は薄給の身でありながら、子どもたちの世話をするために、かねてから望んでいた高待遇の職場のオファーを断ります。なかなかできることではありませんね。貧しい人の善意ほど貴いものはない、そう痛感するエピソードです。

また、そんなロバートの生き方を肯定し、励まし続ける奥さんも素晴らしいと思います。やっぱりどこの世界にも尊敬に値する人はいるもんですね。

フィオナのバックグラウンドとして、スラムの貧しい生活や貧富の格差から生じるレイシズムなどが重たく描かれているだけに、彼らの貴い精神に救われる思いがします。

ただ、映画の出来としては正直イマイチの感があります。環境の壁を乗り越えて才能を開花させたフィオナのサクセスストーリーという仕立ては良しとしても、肝心のフィオナの精神的成長、あるいはチェスを通じて成長するフィオナの姿が十分描き切れていないところが残念です。

彼女の成長のプロセスをもっと丁寧に描いていれば、更に感動的なドラマに仕上がっていたのではと思うのですが……。更に言えば、チェスをあたかも貧困から抜け出すための手段のように描いている点も引っ掛かります(この点は誤解かもしれませんが)。感動の実話なのにどこかあっさりしすぎてるというか、物足りない印象を受けるのは、その辺りに理由がありそうな気がします。

でも、俳優と実物が一緒に登場するエンドロールの演出はいいですね。2016現在のフィオナやロバートたちがみんな幸せそうなので、観ていて嬉しいし、ほっこりします。彼らの未来に幸多からんことを祈ります。

最後に、どうでもいいことなんですが……ウガンダのヤンキーが誇らしげに乗ってるバイクがホンダでもスズキでもなく、なんと中国製。インフラ整備だけかと思ったら……中国のアフリカ進出のスケールとスピードは想像以上のようです。中国資本の支配力、恐るべし!(その意味で最近の注目ニュースは、米中貿易摩擦。米中のチキンレースみたいになって来ましたが、中国経済の勢いは止まるのか、世界経済はどうなるのか、今後の行方が気になるところです)。