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🔵映画「月に囚われた男」/(2009イギリス)感想*小粒で地味だけど、意外性に富んだSFスリラー*レビュー4.0点

月に囚(とら)われた男 [Blu-ray]

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【意外性に富んだSFスリラー】

ここんトコ副業が忙しくなって、ライフワークの方がすっかり疎かになっちゃいました。

……で、GWでようやく一息。久々の映画です。

「月に囚われた男」……タイトルが意味深なので、どんな映画かと思ったら、これってSFスリラーだったんですね。

設定がユニークで展開も謎だらけ、しかも意外性があって、趣向も凝っています。低予算で作られてる割には?面白く、結構コスパの高い映画かなと思います。

【あらすじ】

資源が枯渇した近未来の地球。人類が新たなエネルギー源として利用したのは、月の裏側に存在する鉱物だった。

ルナ産業から3年契約で月へと派遣されたサム・ベルは、AIロボットのガーティを相棒に、たった一人でエネルギー鉱物を採掘し、月から地球へ送っていたが、3年契約があと2週間で満了というときに、採掘現場で事故を起こし、意識を失ってしまう。

そして、基地内のベッドで意識を取り戻したサムは、トレーニングルームで自分と瓜二つの男に出くわす……。

【感想・レビュー】

イギリス映画らしく真面目な作りの作品ですね。あまりスケール感はないけれど、荒涼とした月面とか月から見える地球とかの光景が結構リアルで、ずっと観ていると自分も月面に立っているような臨場感があります。

映画の序盤は謎だらけ。宇宙に独りぼっちのサムの孤独感だけは痛いほど伝わってくるのですが、なかなか話の筋が見えなくて、暫くの間、???という感じです。しかし、ノア社の策謀が少しずつ明らかになってくる中盤あたりから想像以上にスリリングな展開になって、最後は納得のエンディング(何か切ないけど……)。

サムの奥さんのビデオレターとか基地内の少女の幻影とか、途中何だかよく分からない映像も混じって、ツッコミどころは多々ありそうですが、それを帳消しにしているのが、サムとガーティの主従の絆、サムとクローンとの友情?です。ガーティもクローンもどう見てもサムの敵役にしか見えないのですが、意外や意外、結構ウマが合ってるところがちょっとほっこりします。

また、サムの正体もなかなか衝撃的で、こういった意外性の演出は、さすが「ミッション;8ミニッツ」の監督、という気がします。

ハリウッドのSF大作と比べると、かなり小粒で地味な作品ですが、凝った心理サスペンスの味わいがあって、個人的には好きな作品です。

……それにしても、誰もいない月の裏側で3年間も単純労働だなんて、どんな罰ゲームだよ!ってツッコミたくなります(たぶん懲役10年の服役よりシビアですね)。この映画を観ていると、人間にとって一番辛いのは“孤独”なんだということがよく分かります。