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🔵映画「悪魔の発明」/(1957チェコスロバキア)感想*童心を呼び起こす摩訶不思議なファンタジー映画*レビュー3.8点

悪魔の発明 HDマスター カレル・ゼマン監督作品 [DVD]

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【童心を呼び起こすファンタジー映画】

「映像の魔術師」の異名を持つチェコアニメの巨匠カレル・ゼマン監督作品。原作は「海底二万里」「80日間世界一周」のジュール・ヴェルヌです。

何かファンタジー系の紙芝居でも観ているような、そんなレトロ感溢れるノスタルジックな映画です。

当時の特撮は今のCGと比べると子供騙しみたいなものですが、今時の映画みたいにせわしくなくて、牧歌的。しかも夢があって、これはこれで結構楽しめる作品かなと思います。

しかし、あの時代のチェコスロバキアでこんなユニークな映画が作られていたなんて。やっぱり世界は広いですね。

【あらすじ】

ロック教授とその助手アールは、新型爆弾の開発に取り組み、成功まであと一歩のところまで漕ぎ着けていたが、ある夜、突然謎の一味に拉致され、潜水艦に乗せられる。

一味の黒幕は、世界征服を狙うダルチガス伯爵。伯爵は、アジトである洋上の孤島に二人を連行し、教授を言葉巧みに騙して爆弾作りに専念させる。

嬉々として爆弾作りを進める教授を見たアールは、伯爵の野望を阻止すべく、気球を使って世界中にこのニュースを知らせるが……。

 【感想・レビュー】

ホントに不思議な味の映画です。俳優と大道具は実写、背景はアニメ、人形、切り絵など。銅版画のイラストが動いてる⁉って感じです。

劇中、様々な海の生き物が登場するのがファンタジックで楽しいですね。潜水艦の窓に映る魚やクラゲやイソギンチャク……カラーだったらさぞキレイだっただろうなと思います。

実写とアニメ、切り絵などの合成画像は、CG慣れした目から見ると、正直、最初は違和感ありまくりですが(実写の博士の悲愴な表情とその直後のアニメの大爆発の画なんか、ギャップがスゴすぎですw)、見慣れると童心に帰ったみたいで結構楽しめます。

昔観ていた「ひょっこりひょうたん島」やら「ウルトラマン」やらを思い出して、あー、のどかな時代だったなあなんて、ちょっと懐かしい気分にもなります。

この作品、ストーリーがシンプルなところがいいですね。原作はヴェルヌが1896年に発表したSF小説。

荒くれ海賊、火山島の秘密基地、囚われた美女、沈没船の財宝、人食いタコ……うーん、何だかわくわく。オチャメでおおらかで夢があって、少年の日のロマンが掻き立てられます。

しかし……新型爆弾を純粋な好奇心から作ってしまうロック教授、それを悪用しようと目論むダルチガス伯爵、そして、伯爵の野望を阻止しようとする連合国軍という構図は、そのまま、核開発、独裁者、国連決議といった今の世界情勢を予見しているようにも思えます。

ヴェルヌが慧眼なのか、それとも人類に進歩がないのか、どっちかよく分かりませんが……。