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🔵映画「五毒拳」/(1978香港)感想*断固支持します……隠れたカルト・ムービーの傑作*レビュー4.3点

五毒拳 [Blu-ray]

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【隠れたカルト・ムービーの傑作】

格調高き「かくも長き不在」の次は、伝説のカンフー映画「五毒拳」。いくら何でもこの落差は……自分でも笑っちゃいますw

昨日ディスカウントセンターで発見し、たいして期待もせずに観てみたら……これがメッチャ面白い!

カンフーアクションの出来云々というより、映画としてよく出来てます。

久々に出会ったB級映画の傑作。この(B級タッチの)系統では、「レモ 第1の挑戦」、「マチネー 土曜の午後はキッスで始まる」以来の感激かも。

【あらすじ】 

過去に様々な悪行に手を染め、武術界から敵対視される門派「五毒門」。

総帥ホアンは自らの死期を悟り、五毒門の忌まわしい歴史に終止符を打つべく、最後の門弟ヤン・ドーに「五毒門から世に放たれた5人の拳士の拳を封じ、五毒門の隠し財宝を見つけ出して寄付すべし」と命じる。

5人の拳士はそれぞれ修行中面を被り、街に出てからは名も変えているため顔も名前も分からないが、一番弟子はムカデ拳、二番弟子はヘビ拳、三番弟子はサソリ拳、四番弟子はヤモリ拳、五番弟子はガマ拳の遣い手だという。

更に総帥は、ヤン・ドーに、「お前一人では敵わないが、5人の中の1人の正義の拳士と手を組めば、残り4人の敵を倒せるだろう」と告げる。

街に出たヤン・ドーは、5人の拳士の行方を秘かに探る。やがて、莫大な財宝の匂いを嗅ぎつけた拳士たちが次々と姿を見せ始める。

ヤン・ドーは、誰が敵で誰が味方かを見極めると、正義の拳士と共に、残る拳士たちとの死闘に臨む……。 

【感想・レビュー】

すみません。ナメてました。これはホントに面白い映画です。

正統派のカンフー映画とは趣が違って、ダークで殺伐としてミステリアス。異色作ではありますが、それがかえって独自の個性を放っていて、なるほど一部の欧米人の間で熱狂的な支持を得ているのも分かる気がします。

この映画、何と言ってもストーリーがよく出来ています。顔も名前も分からない相手、しかも敵か味方かも分からないという設定がサスペンスフルで、その時点でぐいっと映画に惹き込まれます。最後の最後まで正体不明のサソリ拳士の存在も不気味です。

そして、拳士たちの呪われた宿命にピリオドが打たれる壮絶なラストは、フツーのカンフー映画にはない寂寥感が漂います(“夏草や兵どもが夢の跡”って感じでしょうか)。

それにしても、ガマ拳士はちょっと哀れですね。弱点のないガマ拳士があんなに痛めつけられるなんて。あの拷問はエグすぎます。さすが中国4000年の歴史。拷問のやり方にも伝統の重みを感じます。

見せ場のカンフー・アクションは、それぞれの拳士が特色のある技を披露して、安定の面白さ。鍛え抜かれた肉体から繰り出されるカンフー独特のキビキビした素早い連打に目を瞠ります。また、緩急織り交ぜた彼らの動きは京劇のような様式美さえ感じられ、見事なもんだなあと感心します。

意外とヤン・ドーの出番が少ないのはご愛嬌。彼は狂言回しの役目なんですね。でも、飄々とした愛嬌のある彼のお陰で、殺伐とした雰囲気が随分和んでいます。ラストに希望が感じられるのも彼の明るさのお陰ですね。