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🔵映画「ボーイズ・ボーイズ ケニーと仲間たち」/(1976アメリカ)感想*がんばれ男の子!がんばれケニー!*レビュー4.4点

ボーイズ・ボーイズ ケニーと仲間たち [Blu-ray]

ボーイズ・ボーイズ ケニーと仲間たち [Blu-ray]

【がんばれ男の子!がんばれケニー!】

10歳の男の子の心の成長をみずみずしいタッチで描いた青春ドラマ。

低予算で作られたインディーズ映画ですが、これは良作。昔、映画館で観たという人にとっては今回のBlu-ray化は朗報でしょうね。

確か、本国では公開の目処すら立たなかったのを東宝が買い取って日本で公開したところ、大ヒットしたとか。さすが日本人、目が肥えてます。お金をかけなくても良い映画は作れるという見本のような映画だと思います。

……できれば、次は「ジェレミー/1973アメリカ」のBlu-ray化をお願いしたいものです。ついでにアッバス・キアロスタミ監督の作品も。頼んます!

【あらすじ】

ケニーは10歳の男の子。いつも親友のダグ、年下のシャーマンと一緒にスケボーしたり、イタズラに興じたり。たまに仲間たちとフットボールをしたりして過ごしている。

そんなケニーの悩みは、同じクラスの気になる女の子マーシーのこと、愛犬ボブのこと、それから、施設帰りのイジメっ子ジョニーのこと。

マーシーにはなかなか告白できないし、ボブは日に日に弱っていくし、ジョニーにはヤラレっ放しだし……。

ケニーは、マーシーに想いを告げるチャンスを窺い、ジョニーに知恵で立ち向かうことを決意する。

【感想・レビュー】

描かれているのは、ケニーの少年の日の4日間。愛犬の死、マーシーとの初恋、ハロウィンの夜のハチャメチャなイタズラ、イジメっ子との対決……大人にとっては淡々と流れる日常の一コマも、ケニーにとってはどれもかけがえのない宝物のような経験。

人は誰でも大なり小なり似たような経験をして成長していくものですよね(こういう経験を“大人になるための通過儀礼”と呼ぶのでしょう)。だから老若男女を問わず、この映画に共感できるのだろうと思います。

悪ガキたちのイタズラが微笑ましく、そんな子どもたちを見守る大人たちの温かな眼差しも印象的です。

ちょっと度を超えたイタズラもありますが、そこを笑って済ませるおおらかさがいい感じで、アメリカがアメリカらしかった時代の映画だなあとしみじみ思います。

ケニーの初恋もみずみずしくてキュート。手まで握った仲なのにあっさりマーシーにフラレてしまって……男はつらいよ、です。

マーシーの心変わりを非難するダグの台詞が的を射ていて、思わず吹き出してしまいます。なるほど、女の子は幼い頃から既に“女”なのかもしれませんね。

ケニーとイジメっ子との対決も見ものです。ジャイアンみたいな相手に知恵と勇気で勝負。10歳なのに偉い!ケニーはもう立派な“男”です。

そして、何より感心したのはこの映画の意外な?奥深さ。ケニーは愛犬の死や近所のおじいちゃんの姿を通して、死について考え、漠然とした不安を抱きます。確かにこの年頃の子ならその不安も通過儀礼のような気がします(自分も似たような記憶が……)。

そうした少年の心の影の部分も丁寧に掬い取っているところにこの監督のセンスの良さを感じます。

自分の幼かった頃の記憶と重ね合わせて、“がんばれ男の子!”、“がんばれケニー!”とエールを贈りたくなる映画です。