お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

🔵映画「ボブという名の猫」/(2016イギリス)感想*文字どおり“猫の手を借りた映画”、ボブの熱演?が光る一作*レビュー3.8点

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【幸運の“招き猫”ボブの熱演?が光る一作】

この映画は、実話に基づくトゥルー・ストーリー。猫のボブは本物の出演。日本でもよく見かけるトラ猫ですが、アップでみると、キリッと凛々しくて、なかなかのイケメン?です。ハイタッチもできるし、賢そう。猫ファンにはたまらない映画だろうと思います。

主役はジェームズなんですが、完全にボブに食われてますね。

【あらすじ】

生きる目的を見失い、薬物中毒となったジェームズは、家族にも見放され、ロンドンの路上で歌を歌って日銭を稼ぎながらホームレス生活を送っている。

ジェームズの薬物中毒治療をサポートするヴィラは、彼の可能性を信じて、再起のための住まいを斡旋する。ある日、その住まいに飼い猫とも野良猫ともつかぬ一匹の猫が現れる。猫を飼う余裕のないジェームズは、懸命に飼い主を探すが、見付からない。

一方、隣人のベティによってボブと名付けられたその猫は、ジェームズの傍を片時も離れず、路上演奏にも付いてくる始末。しかし、意外にもジェームズとボブのツーショットが聴衆にウケて、SNS上でもこのコンビの話題が拡散していく。

ボブとベティの存在に勇気づけられたジェームズは、最後のハードルとなっていた薬物抑制剤の服用を絶つことに成功し、社会復帰の足掛かりを掴む。そして、冷え切っていた父親との関係も徐々に修復へと向かっていく。

そんな彼の元に、出版社から自伝の執筆依頼が舞い込んでくる……。

【感想・レビュー】

ジャンキーでホームレスの青年・ジェームズがボブという名の猫の存在に励まされ、社会復帰を果たしていく様を温かいタッチで描いたトゥルー・ストーリー。

実話ならではの説得力があって心温まる映画ですが、ジェームズの暮らしぶりにいまいちピンとこないところがあって、うまく気持ちが入り込めないままジ・エンドという感じもします。あるトラブルで路上演奏が禁止され、ジェームズとボブは食うや食わずの極貧生活を強いられるのですが、何でフツーに働かないのかがどうにも不思議でならないのです。不況で仕事がないとか、薬物中毒の関係で働こうにも働けないとか、それなりの理由はあるのでしょうが、そこが説明されていないので、単なる甘ちゃんに見えて、共感しずらいんだろうと思います(家族との関係は理解できるし、感動的でもあるのですが)。

ただ、彼が優しい青年であることはよく分かります。時々家に現れるネズミを“隣人”と呼んだり、極貧生活なのにボブの治療費を惜しまなかったり、友人に食費を渡したり。たぶん彼の場合、その優しさが弱さと紙一重だったんでしょうね。彼が薬物に逃避したのも何となく分かる気がします。

そんな面倒臭い人間に比べて、ボブのマイペースなこと!気まぐれで自由気儘で、媚びることなく“我が道を往く”という感じで……やっぱりこの映画の主役はボブですね。ジェームズとボブを見ていると、どっちが御主人様か分からない感じが微笑ましくて、何だかほっこりします。

この映画で面白いのは、猫目線の低いカメラアングル。ポブの見ている世界をそのまま見ている気持ちになって、犬に追われているときの恐怖心やネズミを追いかけ回すときの好奇心などがリアルに伝わってきます。生き物相手ということで演出の苦労が偲ばれますが、その辺りはなかなか上手く撮れていると思います。