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🔵映画「グローイング・アップ」感想*イスラエルの男の子の垢抜けない青春*(1978イスラエル,アメリカ)レビュー3.9点

グローイング・アップ [DVD]

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【イスラエルの男の子の垢抜けない青春】

美しい女の子に憧れるごくフツーの多感な男の子の青春の一コマを描く。

……年頃の男の子の悩みに時代や国境はない。そこが面白い。

男の子は大切な何かを失いながら少しずつ大人になっていく……そこもまた、万国共通か。

【あらすじ】

舞台は1958年のイスラエル。

ベンジー、ボビー、ヒューイのおバカ高校生3人組の頭の中は女の子のことばかり。毎晩ディスコに通ってはガールハントにいそしんでいる。

そんなある日、ベンジーは転校生のニキに一目惚れ。あの手この手でニキの気を惹こうとするのだが、ベンジーの努力も虚しく、ニキはプレイボーイのボビーと付き合うようになる。

やがて、ニキが妊娠していることを知ったベンジーは、傷心の彼女のために病院に付き添ったり、中絶費用を工面するなど涙ぐましいサポートをして、彼女との距離を縮めていくのだが……。

【感想・レビュー】

全編、切れ目なく流れるオールディーズナンバーがひたすら懐かしい。好きな曲は『ミスター・ロンリー』『涙のくちづけ』『ヘイ・ポーラ』あたりかな。もっとも、『のっぽのサリー』はビートルズで、『ミスター・ロンリー』と『涙のくちづけ』はレターメンで聴いた世代なのだが……それでも十分古い?。ジュークボックスなんて、久々に見た気がする。やっぱり50年代、60年代には格別の郷愁をそそられる。

この作品のいいところは、友情、初恋、失恋といった年頃の男の子の普遍的テーマを、素直に伸びやかに描いているところだろう。登場人物の全員が等身大。そこに好感が持てる。時を経てもこの作品が色褪せないのはそのせいだろう。

前半の笑いの部分は、さすがにこの年になるとオフザケが過ぎるように見えて、それほど面白くもないが、後半の泣きの部分は、年をっても共感できるものがあって、「そうそう、男は純情、女は薄情なんだよ、ベンジーくん」って、肩を叩いてあげたいようなシンパシーを感じてしまうのだ。

また、おバカな3人組のキャラもいい。フツーにナイーブなベンジー、厚かましいモテ男のボビー、おデブでドジなヒューイの3人の組み合わせは、青春モノとしては、あまりにも定番、あまりにもベタなのだが、昔を振り返ると、確かにこんな奴らいたよなあ、と妙にリアルに思い出されるから不思議だ(特に、お人好しのヒューイタイプは間違いなくクラスに一人はいた気がする。なんていい奴!)。

この作品、少々作りは粗いが、誰もが経験する青春の一コマを鮮やかに切り取った青春映画の秀作ではあると思う。