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🔵映画「アクロス・ザ・ユニバース」感想*愛こそはすべて*(2007アメリカ)レビュー4.0点

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【愛こそはすべて】

ビートルズの名曲に乗せて奏でられる60年代の青春。

ラストに主人公ジュードが歌う『愛こそはすべて』。これこそ60年代を象徴するメッセージだと思う。

【あらすじ】

イギリス、リバプールの造船所で働くジュードは父を捜しにアメリカに渡る。彼の父は、戦時中イギリスに駐留し、戦後アメリカに帰還した兵士だった。

彼は、父を捜し出し、念願の初対面を果たすが、既に再婚していた父は彼をやんわりと拒む。

失意のジュードに声をかけてきたのは、自由奔放に生きる大学生マックス。二人は意気投合し、ニューヨークに出て、共同生活を始める。

その後、マックスの妹ルーシーが合流し、ジュードとルーシーは恋に落ちる。

初めは仲睦まじかった二人だったが、ルーシーがベトナムの反戦運動に傾倒していくにつれ、二人の溝は深まっていく。

やがて、マックスは徴兵され、ジュードは不法滞在がバレてイギリスに強制送還されてしまう。

離れ離れになった彼らに再会の日は訪れるのだろうか……。

【感想・レビュー】

60年代のエポックメーキングとなったビートルズとベトナム戦争をモチーフにした若い男女の恋愛映画。

ビートルズのヒットナンバー33曲を各シーンの出演者が熱唱するミュージカル仕立てとなっており、ビートルズファンにはたまらない一作(そもそも主役が『ジュード』と『ルーシー』というのが嬉しい!)

この映画、脚本に曲を合わせているのか、曲に脚本を合わせているのか、よく分からないが、とにかく映像(シーン)と曲とのマッチングが抜群。個人的に特に印象深いのは、イギリスに帰ったジュードを想ってマックスが歌う、『ヘイ・ジュード』(教会に響き渡るゴスペル調の『レット・イット・ビー』も好みだが)。

そして、吹替えなしの歌がまた凄い。彼らの歌唱力にはつくづく舌を巻く(これぞハリウッドの底力!特にダナ・フォックスの『オー!ダーリン』は圧巻。もちろんジョー・コッカーやボノも凄いけど)。

映画としての難点を挙げるとしたら、ストーリーが平板なところだろうか。アートに打ち込むジュードの行く末などをもう少し掘り下げて描いていたら、映画に深みが増したのでは、と思うのだが(ドラマ性という点では、同じ音楽映画の『はじまりのうた』や『ワンナイト、ワンラブ』に劣る)。

……この映画では、33曲全ての歌詞が字幕で表示される。そのメッセージは半世紀以上たった今でも全く色褪せていない(むしろ差別と分断の21世紀にこそピッタリくるような気がする)。ジョン&ポールは偉大な音楽家であると同時に偉大な詩人でもあるのだと改めて感じ入る一作。