🔵映画「天国に行けないパパ」感想*死ぬ気になれば何でもできる*(1990アメリカ)レビュー4.1点
【死ぬ気になれば何でもできる】
他の患者と取り違えられて余命宣告を受けた冴えない刑事の殉死覚悟?の奮闘を描いたアクション・コメディ。
主人公バードの破れかぶれの行動が痛快で、終始ニコニコ顔で楽しめる映画。
似たような設定の映画では、『ラスト・ホリデイ/2006アメリカ』もオススメ。
【あらすじ】
犯人逮捕より我が身の安全を優先する定年間際の刑事バード。妻と別居中の彼は、10歳の息子をハーバードに進学させることだけを夢みて、コツコツと貯金に励んでいる。
そんなある日、健康診断を受けたバードは、重病を患う男から血液をすり替えられた結果、医師から余命2週間の宣告を受けてしまう。
その後、生命保険の条項を確認し、在職中の殉死であれば多額の保険金が降りることを知ったバードは、息子の将来のために、昼夜勤務を願い出て、防弾チョッキも着けず、危険な業務に邁進するが……。
【感想・レビュー】
ど派手なカーチェイス、気の利いたジョーク、幼い息子を想う父親の愛情など、結構見どころの多い映画。
感心するのは、アクションの真面目さ?。特にカーチェイスシーンは迫力満点で、B級映画(失礼!)の域を超える出来。それだけでも十分楽しめるが、ひたすら殉死を目指して?犯人を追い詰めるバードの滑稽な悲壮感と犯人のアンビリーバブルな表情の噛み合わせがとにかく面白い。まさに、死ぬ気になれば怖いもんなし。
一方で、しんみりさせるシーンもなかなか秀逸で、この作品、ハチャメチャ感としんみり感のブレンドが絶妙だ。
死を覚悟したバードが相棒のアーニーに人生を語る……
『アーニー、俺はこの年になってようやく重要なことに気づいた。将来を案じて今を犠牲にしていたら、本当の幸せは逃げてしまう』
……いいセリフだと思う。
バードが、別居中の妻にこれまで言えなかった想いを伝えるシーン、妻に逃げられて絶望し、コンビニに立て籠もった犯人を説得するシーンなども、彼の言葉がじんわり心に沁みて、なかなか感動的だ。
アクションシーンに身を乗り出し、間の抜けたジョークに笑いがこぼれ(……勤務中の署内でTVのメロドラマに熱中する二人の刑事のおバカな掛け合いは爆笑モノ)、息子を想う父親の愛情にホロリとくる、掘り出し物の一本。ただし、ストーリーにもうひと捻り欲しいところではある。