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🔵映画「ドライビングMissデイジー」感想*人生のメッセージが染み染みと胸に響くヒューマンドラマの秀作*(1989アメリカ)レビュー4.4点

ドライビング Miss デイジー [DVD]

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【なんて意地っ張りで愛らしいおばあちゃん!】

偏屈なユダヤ人元教師の老婦人と、無学だが陽気な初老の黒人運転手の絆を描く。

ジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの渋い演技が光るハートウォーミングドラマ。

【あらすじ】

舞台は、1948年のジョージア州アトランタ。買物に出かけようとした老婦人デイジーは、運転を誤って、隣の垣根に車で突っ込んでしまう。母の衰えを心配した息子のブーリーは、初老の黒人運転手ホークを雇うが、彼女はホークを頑として受け付けない。

しかし、ホークの粘りに根負けしたデイジーは、とうとう彼に運転を任せるようになる。

ホークの正直で陽気な人柄に触れ、次第に心を開いていくデイジー。やがて、二人の間に、主従の立場を超えた、かけがえのない信頼と友情が芽生えていく……。

【感想・レビュー】

この映画は、どストライク!

大袈裟なところやわざとらしいところがなく、上品で上質。温かくユーモラスで、何とも言えない滋味に溢れた、まさに心の琴線に触れる、という言葉がぴったりの珠玉のドラマ。

「八月の鯨/1987アメリカ」が好きな人なら、きっと気に入る作品だと思う。この二作品は、人と人の絆や老いというテーマを、柔らかい眼差しでごく自然に描いているところがよく似ている(人種差別の問題が根底に流れている点で、本作の方がやや社会的)。

偏屈で頑固で意地っ張りだが、心が真っ直ぐでどこか憎めないミス・デイジー。そんな彼女に半ば呆れながらも生来の陽気さで大らかに接するホーク。まるで長年連れ添った夫婦のような意地の張り合いやユーモラスな掛け合いがほのぼのとしていて、何とも微笑ましい。

ミス・デイジーを演じたジェシカ・タンディは、本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞(納得!)。そして、ホークを演じたモーガン・フリーマンも、毎度のことながら、圧巻の存在感(よく響く少し鼻にかかった声がいい)。

この映画は、淡々と流れる日常のひとコマひとコマを丹念に拾い、紡いで、二人のかけがえのない日々を鮮やかに写し取っている。たとえ年はとっても、大したドラマやハプニングなどなくても、人は輝けるし、人生は生きるに値する……静かで心地好い余韻に包まれて、そんなメッセージが染み染みと胸に響くヒューマンドラマの秀作。