🔵映画「パピヨンの贈りもの」感想*二人の名優?の演技と南フランスの高原の美しさに魅了され、心洗われる一作*(2002フランス)レビュー4.1点
【エルザとジュリアンのしあわせ探しの旅】
心に小さな痛みを抱える老人と少女の“しあわせ探しの旅”を描いた良質のフランス映画。一見ユーモラスだが意外と深い二人の掛合いが一番の見どころ。
【あらすじ】
パリで暮らす8歳のエルザは、いつも一人ぼっち。ママと食事に行って、映画を観て、というささやかな夢を持っているが、ママは毎日の自分の生活で精一杯。
一方、エルザのアパートの階下で暮らすジュリアンは、亡くなった息子のことが忘れられず、息子と約束した(ヨーロッパ一美しいと言われる)幻の蝶“イザベル”を長い間探している。
ある日、エルザとジュリアンは、ひょんなことから、“イザベル”を探す旅に出る。旅の途中、二人は言い争いしながらも互いの寂しさに触れ、次第に心を通わせていく。
はたして、二人は幻蝶“イザベル”を見付けることができるのだろうか……。
【感想・レビュー】
「偏屈なじいさん」と「いたいけな少女」のコンビは、ベタだけど最強の組み合わせかも。エルザの素朴で核心を突いた疑問とそれに対するジュリアンの哲学的な応答は、微笑ましさの中に人生の機微に触れるものを感じさせて、いかにもフランス的。特に、エルザにせがまれてジュリアンが指人形でお噺を披露するシーンやエルザが『密猟者』という言葉にひどく反応するシーンなどは、色々考えさせられ、深く印象に残る。
そして、堪らないのは、エンディングロールに流れるエルザとジュリアンのデュエット。エルザの舌足らずのフランス語が可愛すぎ!
この映画は、たとえ血の繋がりなどなくても、どれだけ世代が違っていても、心を開けば人は分かり合えるということを教えてくれる映画。喧嘩して仲直りして、また喧嘩して仲直りして、最後は手を繋いで……。そんな二人の姿にとても癒やされる。
ジュリアン役のミシェル・セローはフランスの偏屈ジジイを演じさせたらピカ一の俳優(『約束 ラ・プロミッセ』での年輪を感じさせる渋い演技も見事だった)。しかし、本作のウリは、何と言っても、エルザ役のクレール・プアニッシュ。どんな名優の演技もこの少女のいじらしさには敵わない気がする。
二人の名優?の演技と南フランスの高原の美しさに魅了され、心洗われる一作。