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🔵映画「グッバイ、サマー」感想*14歳を経験した男なら誰しも共感できる作品*(2015フランス)レビュー3.7点

グッバイ、サマー [Blu-ray]

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【14歳の等身大の少年たちのほろ苦い青春】

フランスの少年たちのひと夏の冒険を描いた、ビタースイートな青春映画。14歳の男の子は、単純なのにややこしく、純心なのに扱いにくい。難しい年頃なのは、どうやら万国共通のようだ。

【あらすじ】 

画家を目指すダニエルは、女の子のような容姿で学校の友だちから馬鹿にされ、家庭でも過干渉の母親やパンク狂の兄に囲まれ、息苦しい日々を過ごしている。

そんなある日、クラスに目立ちたがり屋で趣味が機械いじりという、ちょっと変わった男の子タオが転入してくる。

二人はたちまち意気投合し、窮屈な毎日から脱出するための“ある計画”を思い付く。それは、夏休みにスクラップで作った車(ログハウス?)で旅に出るという計画だった……。

【感想・レビュー】 

シング・ストリート』と同じく、監督の自伝的要素の強い作品。悩み多き等身大の14歳を描いて、好感の持てる作品であるが、ややドラマ性が乏しく、物足りない気がしないではない。良く言えば素朴でリアル、悪く言えば面白味や余韻がイマイチといったところか。

しかし、ダニエルとテオが夏休みにオンボロ車(ログハウス?)で冒険旅行に出るシーンは、なかなか面白い。自由と自立を求め、“ここではないどこか”に憧れる少年の気持ちは、14歳を経験した男なら誰しも共感できるところだろう。

旅先で数々のハプニングに見舞われつつも何とか旅を続ける二人の姿も、滑稽ではあるが笑えない必死さがあって、眩くもある。この辺りの描写は、伸びやかで活き活きしていて、気持ちがいい。それにしても、ヨーロッパの少年の冒険は、どこか大陸的な大らかさがあって、羨ましい気もする。

この映画を観ていると、14歳の頃の自分を思い出して懐かしくもあるが、同時に、あまりに幼稚で愚かだった自分の姿もダブって見えて、気恥ずかしい気分にもさせられる(ホントにアホだった!神様から「14歳に戻してやる」と言われても、絶対御免被りたい)。

これは少年が大人になるための通過儀礼を描いた映画。「アメリ」のオドレイ・トトゥがダニエルのお母さん役で出演している点も、妙に感慨深い。