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🔵映画「ルディ」感想*スポーツ映画の魅力が詰まった実話に基づく感動作品*(1993アメリカ)レビュー4.0点

ルディ [DVD]

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【自分を信じること】

夢を諦めないこと、努力すること、自分を信じることの大切さを描く、実話に基づく感動のスポーツ映画。

【あらすじ】 

鉄鋼の街ピッツバーグで生まれ、幼い頃から名門ノートルダム大学のアメフトチームのレギュラー選手になることを夢見るルディ。

しかし、学業不振と経済的理由から進学を諦め、鉄工所で働き始める。

ルディは唯一の理解者である親友に励まされながら、夢を実現する機会を窺うが、ある日、鉄工所で爆発事故が起き、その親友を喪ってしまう。

彼の死をきっかけに、ルディは、家族や恋人の反対を押し切って、夢への挑戦を始める……。

【感想・レビュー】

周囲から「無謀」とか「身の程知らず」と、嗤われ、バカにされながらも、幼い頃からの夢を諦めず、努力と挑戦を重ね、遂に夢を実現するルディの実話は、『イーグル・ジャンプ』のエディ・エドワーズの実話を思い起こさせる。

元々運動能力に恵まれていない点(ルディは小柄で、エディは運動オンチ)、良き理解者がいる点(ルディは幼馴染みの親友、エディは優しい母親)、自分を信じる能力を備えている点(少々お調子者で周囲から浮いているが)は、どれも酷似している。

このうち「自分を信じる能力」は、成功者に共通して見られる特徴であり、若者の特権とも言える資質であるように思う。確か、ツルゲーネフの『はつ恋』に(若さの可能性について触れた)こんな一節があったと記憶している。

『若さの魅力は、全てを成しうることにあるのではなく、全てを成しうると信じることができることにある』……(何せ40年以上前に読んだ本なので、間違っているかもしれない)

ルディとエディには、自分を信じることができる才能があったということだろう。

それはある意味、根拠のない自信でもあるのだが、二人には努力する才能も備わっている(それは自分を信じる気持ちの強さの裏返しでもある)。

勉強が苦手なルディがノートルダム大学への編入試験に何度もチャレンジする姿、学業とバイトの両立に苦しむ姿、小柄というハンディにめげずアメフトの猛練習に明け暮れる姿……自分の可能性を信じ、ひたむきに努力するルディの姿は、天賦の才能を持つ人の成功譚より遥かに感動的だ。

そんなルディに感化されたチームメイトたちの熱い想いが溢れ出るラストも、スポーツの原点を教えられているようで、この上なく爽快だ。ルディを見守るグラウンドキーパーの厳しくも温かい眼差しも、強く印象に残る。

観る人によっては激賞レベルの映画だと思うが、個人的には、不満な点がないではない。ルディの言動に気恥ずかしさや痛さを感じて素直に共感できないところがあるし、(いくら夢の実現のためとはいえ)監督に出場を直訴するところも、少し抵抗を感じてしまう。もっともそれも若さの表れであって、許容すべきところなのかもしれないが……。

へそ曲がりの偏屈ジジイの採点は少々辛いが、スポーツ映画の魅力が詰まった秀作という評価には、異論はない。