【極楽インド映画!マサラムービー10選】オススメの作品紹介・レビュー
私の住む街では、桜が散ってしまいました。
《散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ》(細川ガラシャ)
花も人も散り際が肝心ということでしょうか。さすが戦国武将の妻、潔いですね。その気構え、見習いたいものです。
……というガラシャ夫人の歌とは何の関係もなく、今日はインド映画の紹介です(脈絡がなくて、すみません)。
オススメの①「きっと、うまくいく」②「神さまがくれた娘」③「命ある限り」の3作の順位は不動ですが、既に紹介済みなので、それらを除いたオススメ作品を紹介します(同様の理由から、「マイネーム・イズ・ハーン」も除いています)。
インド映画は、面白いです。クセになります。今回紹介した以外にも面白い作品はいっぱいあります(「チェイス!」、「あなたがいてこそ」、「バードシャー テルグの皇帝」etc)。
未視聴の方は、一度チャレンジされてはいかがでしょうか。きっと世界が広がると思いますよ。
【極楽マサラムービー10選】 作品紹介・レビュー
№10
🔵めぐり逢わせのお弁当/(2013)
【600万分の1の確率の恋】
ムンバイの弁当配達システムの誤配率は600万分の1。そんな誤配から生まれた、夫の心を手の込んだお弁当で取り戻したい主婦と、定年間近の男やもめの慎ましい交流を描く。
交流の手段はお弁当を介した文通。お弁当の感想を通した交流はやがて人生の打ち明け話にまで深まり、それぞれの澱んだ日常を次第に温かいものに変えていく。その感情の流れや心の機微を琴線に触れるような繊細なタッチで描き出している点が見事。
主婦が作る美味しそうなお弁当や、彼女が住むアパートの上階の「おばさん」(声だけの登場)の不思議な存在感も、印象的。
№9
🔵ミルカ/(2013)
【走れ、ミルカ、走れ】
実在の陸上選手をモデルにしたシリアスなヒューマンドラマ。
ミルカの家族は、インド独立後間もなく起こったヒンドゥー教徒・イスラム教徒間の大殺戮に巻き込まれ、虐殺されてしまう(タイトルは、その際父親が発した言葉)。印・パ紛争、ヒンドゥー・イスラムの対立に翻弄され続けたミルカの半生を描く。
ミルカが国を代表するランナーとなって姉と再会するシーン、故郷を訪ねて親友と再会するシーンは、本作の白眉。時を経ても変わらぬ人間の情愛に胸を揺さぶられる。
ボリウッドはこんな映画も作るのかと、インド映画の振幅の大きさと懐の深さに深く感じ入る一作。
№8
🔵闇の帝王DON ベルリン強奪作戦/(2011)
【スタイリッシュ!】
ドイツ中央銀行に眠るユーロの原版を狙うドンと、それを阻止しようとする国際警察のロマ。
ユーロ原版の強奪作戦を縦軸に、ドンとロマのロマンスを横軸に疾走するスタイリッシュなクライムアクション。
二転三転の展開がスリリングで、シャールク・カーンの悪漢振りもなかなか板についている。ロマ役のプリヤンカー・チョープラーは2000年のミス・ワールド。雌豹を思わせるしなやかな動きに目が釘付け。
何遍見ても、スタイリッシュでカッコいい。
№7
🔵タイガー 伝説のスパイ/(2012)
【インド版007】
対立関係にあるインドRAW(調査分析局)の凄腕エージェント、タイガーと、パキスタンISI(軍統合局)の美人エージェント、ゾヤの道ならぬ恋と、世界を股にかけた逃避行を描く。
とにかくゾヤ役のカトリーナ・カイフが問答無用に美しい。彼女の美には、タイガーに組織を裏切らせるだけの十分な説得力がある。西洋のお人形のような美しさでなく、エキゾチックで神秘的な面立ち。地球上で最も美形の民族はたぶんインド人じゃなかろうか(もっとも、彼女はイギリス・インドのハーフなんですが……)。
エンドロールの彼女のベリーダンスは至福のヒトトキ。ハスキーな歌声もgoo!
№6
🔵ボンベイ/(1995)
【インドの宗教対立】
恋に落ちたヒンドゥー教徒の男とイスラム教徒の女。2人は家族の反対を押し切って結婚し、ボンベイで幸せに暮らす。
しかし、ボンベイでは、イスラム教モスクの破壊に端を発するイスラム教徒とヒンドゥー教徒の衝突が勃発し、彼らも激しい暴動に巻き込まれていく……。
度重なる苦難に翻弄されながらも変わらぬ夫婦愛を、ときにユーモアも交えて描いた秀作。
暴動の渦中で、宗教対立の不毛を必死に訴える夫の言葉は、混迷の21世紀にもそのまま当てはまる。
№5
🔵恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム/(2007)
【インドテイストてんこ盛り】
端役男優が人気女優に恋をした。しかし、人気女優は、彼女の存在が疎ましくなった恋人に殺され、端役男優もその巻き添えとなって殺される。30年後、生まれ変わった端役男優は、人気女優と瓜二つの女性を見付けて復讐に乗り出す……。
歌と踊り、輪廻転生、復讐劇、キレイな女優というインド映画の特徴を全て盛り込んだ娯楽超大作。
とにかく豪華絢爛。インド映画に馴染みがない人はこの作品から入るべし。きっとインド映画が好きになるはず。
№4
🔵マダム・イン・ニューヨーク/(2012)
【大人の女子力】
お菓子作りが得意で模範的な主婦シャシは、英語ができないために夫や娘からバカにされる日々。ニューヨークに住む姪の結婚式に招待されたシャシは、一念発起して現地の英会話スクールに通い始める……。
この映画のテーマは、自立した女性の強さと美しさ。それをシャシ(シュリデヴィ)が見事に体現している。
それにしても、彼女のサリー姿が華やかなニューヨークの街並みにこんなにも映えるなんて。ゴージャスでチャーミングな貴婦人の肖像画を見ているようで、溜息が洩れる。
№3
🔵マッキー/(2012)
【IT大国インドの力技】
恋敵のワルに殺されてハエに生まれ変わった青年の復讐劇。
輪廻転生、復讐劇はインド映画の定番だが、それにしてもハエに生まれ変わるなんて!
その想像力の豊かさに驚くが、更に驚くのが、縦横無尽、自由自在に飛び回るのハエの動き(喜怒哀楽の表情も分かりやすい)。インドのCG技術、恐るべし!(なんたって、ハエが恋敵との対決に備えてウエイトトレーニングに励むんだから、もう目が点)。
ハエを応援するヒロインも清楚で美しく、文句なし。
宮藤官九郎も大好きというこの映画、かなりぶっ飛んでます。
№2
🔵女神は二度微笑む/(2012)
【女神の二面性】
行方不明となった夫を探すため警察を訪れた美しい妊婦。警官は彼女の身の上に同情し、夫の捜索を手伝うようになる。やがて、夫にそっくりの男の存在が浮かび上がるが……。
珍しく歌も踊りもない、シリアスでスリリングなサスペンスドラマ。
脚本の出来が素晴らしく、ラストはまさに衝撃のどんでん返し。コルカタ地方の祭り、ドゥルガー・プーチャーの雑踏に消えるヒロインの姿が深い余韻を残す。
インド映画の潜在力の高さを見せつけた一作。
№1
🔵チェンナイ・エキスプレス〜愛と勇気のヒーロー参上〜/(2013)
チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~ [DVD]
【インド版ラブコメの王道を往く】
テーマは、北インドボーイ・ミーツ・南インドガール。
たまたま列車に乗り合わせたテキトー男とマフィアのドンの娘。親が決めた相手との結婚を迫られた娘は、テキトー男を巻き込んで逃避行を図る……。
二転三転のストーリー、原色のカラフルな映像、華麗な歌と踊り、ド派手なアクションetc、エンタメ性を徹底追求したラブコメ。
エンドロールのラジニーカント(インド映画界のビッグボス)へのオマージュもたまらない。
歌と踊りの楽しさは、これが最高かも。