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🔵映画「コッホ先生と僕らの革命」*全ての教育者と生徒、家族に観てほしい映画*(2011ドイツ)レビュー4.3点

コッホ先生と僕らの革命 [DVD]

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【教育の原点がここにある】

19世紀後半の軍国主義下のドイツ。新任英語教師コンラート・コッホがサッカーを通して生徒たちに新風を吹き込んでいく姿を描いたトゥルー・ストーリー。

たまたまかもしれないが、ドイツ映画は粒揃いの印象がある(『ベルリン・天使の詩』『バグダッド・カフェ』『善き人のためのソナタ』『点子ちゃんとアントン』『マーサの幸せレシピ』etc)。本作もまた、ドイツの映画人の良心が滲み出た秀作。

全ての教育者と生徒、それから家族揃って観てほしい映画。

【あらすじ】

強制と服従が教育の基本であった軍国主義下のドイツの学校に、イギリス留学から帰国したコッホ先生が赴任する。

彼は生徒たちに“フェアプレー”と“チームプレー”の精神を教えるためにサッカーを授業に採り入れようとするが、反英感情の高まりもあって、他の教師や後援会から様々な圧力を受ける。

一方サッカーの楽しさを知った生徒たちは、サッカーとコッホ先生を懸命に守ろうとするが、後援会長の執拗な妨害工作により、コッホ先生は辞職の危機に追い込まれてしまう……。

【感想・レビュー】

これは間違いなく“いい映画を観た”と思わせてくれる映画。

感動の質は、何となく『コーラス/(2004フランス)』に似ている。ただし、『コーラス』が繊細で柔らかいのに対し、こちらは骨太で硬質という印象を受ける。(穿ちすぎかもしれないが)両国の国民性の違いが表れているようで、面白い。

映画的には多少の綻びはあるかもしれないが、何と言ってもこの映画の主役は生徒たち。サッカー精神を学んだ彼らが自らの困難な状況を克服しながら、師弟の絆や仲間との友情を育んでいく姿は、文句なしに感動的(この点は、生徒たちの生き生きした演技の勝利かもしれない)。また、コッホ先生の生徒たちに接する態度も、相手を敬うというフェアプレーの精神が感じられて、観ていて気持ちがいい(彼は生徒たちを『Gentlemen=諸君』と呼ぶ!)。

ちなみに、コッホ先生は実在の人。サッカーの精神が階級差別を克服するという信念のもと、サッカーのルール本をドイツ語に翻訳して出版、授業にサッカーを導入するなど、ドイツサッカーの創始者とされる。

……最後に一言。

こんな映画を学校で上映できないものかとつくづく思う。『赤い風船』、『奇跡の人』、『わが谷は緑なりき』、『アラバマ物語』、『遠い空の向こうに』etc子どもたち、先生たちに観てほしい映画は山ほどある。何よりの道徳(情操)教育になると思うのだが……。