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🔵映画「ダンシング・ヒーロー」感想*直球勝負のダンスエンタメ!*(1992オーストラリア)レビュー4.3点

ダンシング・ヒーロー [Blu-ray]

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【直球勝負のダンスエンタメ!】

『ダンシング・ヒーロー』と言えば、荻野目洋子。今、バブリーダンスの大阪府立登美丘高校が話題になっています(あのキレキレダンスの躍動感!ぶっとび〜♪です)が、こちらの方は、バブル崩壊直後の時代のオーストラリア映画。

これは文句なしに楽しめる作品です。ベタなストーリーだけど、単純明快、小細工は一切なし。こういう直球勝負の映画は観ていて気持ちがいいし、パソドブレ(男女のペアで踊るフラメンコ?)、タンゴ、ルンバと、作り手のダンスへの強い思い入れが感じられるところも好感が持てます。

つい最近発売されたBlu-ray版を購入しての視聴ですが、元は十分取れたような気がします。

【あらすじ】

スコットは才能豊かな社交ダンスの若きチャンピオン。しかし、大会で新しいステップを試したためルールに触れ、ライバルペアに優勝を攫われてしまいます。

怒ったペアの相方からペア解消を宣告されたスコットは新たなペアを探すのですが、なかなかピッタリくる相方は見つかりません。そんなスコットを見て名乗りを上げたのはダンス歴2年のスペイン系女性、フラン。

スコットとフランは、フランの父と祖母から徹底的にラテンダンスのステップを叩き込まれ、再起を賭けて次の大会に臨むのですが……。

【感想・レビュー】

ダンス映画は好きでよく観ています(『フラッシュダンス』『ダーティ・ダンシング』『ダンシング・ハバナ』『セイブ・ザ・ラストダンス』『サルサ!』『ハートビート』etc)が、この作品は、その中でも特にインパクトがあって、楽しめる一作かと思います。

スコット役はイケメンのポール・マーキュリオ。もちろんダンステクニックは筋金入りです。当時、日本の女性にかなり騒がれたんじゃないかと推測します。一方、ヒロインのフランを演じるタラ・モーリスはというと……初見は、超地味めのメガネっ娘。その野暮ったさに正直テンション急降下⤵でしたが、メガネを外す→髪型と服装を変える→化粧をする→正装する、という女子の王道のプロセスを辿ると……あら不思議、結構素敵(失礼!)なレディへと変身します。正統派美人じゃないけれど、意志的な眼差しの凛々しい面立ちが印象的で、「やっぱりこれが女優なんだよなぁ」と妙に納得してしまいます。

もっとも、この作品の見所は、スコットとフランの圧倒的なダンスパフォーマンス。2人の軽快なステップにわくわく興奮し、キレキレのダンスにうっとり酔いしれて……パソドブレって、なんて情熱的でカッコいい踊りなんでしょう!

スコットは、自分のダンスを自由に踊ってチャンピオンになるのが夢なのですが、新しい振付やステップは保守的な社交ダンス大会ではタブー、その挑戦はダンサー生命の危機を意味します。そんな葛藤を抱えたスコットにフランが言います……『恐れながら生きれば、人生を半分しか楽しめない』……これぞラテンの精神です。彼らは裕福ではないけれど、人生の楽しみ方を知っています。ポジティブに人生を楽しむって、我々日本人にはなかなか真似のできない、羨ましい生き方ですね。

実際、フランのおとうさんとおばあちゃんも踊りが大好き。おばあちゃんなどかなり肉厚?なのに、驚くほど軽快なステップを踏んでみせます(このおばあちゃんがとてもチャーミング。フランに示す愛情にもうるっときてしまいます)。「ラテン系の人たちって、ひょっとして人生の半分は踊ってるんじゃね?」……そんなことを考えたりして、とても楽しい95分でした。

この作品、華麗で躍動感に溢れ、しかも終始笑顔で楽しめて、後味も爽快、まさにエンタメ映画のお手本のような一作だと思います。