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🔵映画「フィツカラルド」感想*血湧き肉踊るエキサイティングな一作*(1982ドイツ)レビュー4.2点

フィツカラルド Blu-ray

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【オッサンの途方もないロマン】

見果てぬ夢を実現させようと、全てを賭けて大自然に挑む男を描く壮大なアドベンチャー・ロマン。

圧倒的スケールの汽船の山越えや激流下りに、血湧き肉踊るエキサイティングな一作。

【あらすじ】

舞台は、19世紀末のペルー。オペラ狂のフィツカラルドは、アマゾンの奥地にオペラハウスを建てる、という途方もない夢に取り憑かれ、資金集めに奔走するが、誰からも相手にされない。

そこで彼は、アマゾン奥地でゴム農園を開拓して資金を調達しようと考え、恋人である娼館の主の援助で汽船を手に入れ、アマゾン川上流にある目的地へと遡上する。

途中、彼の一団は、首狩り族や先住民との遭遇、乗組員の大量脱走等の困難に見舞われるが、その後、彼らを待ち構えていたのは、“汽船の山越え”という最大の困難だった……。

【感想・レビュー】

鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品。

この監督、何かに取り憑かれた人間の狂気を描くのが趣味?なのだろうか。『アギーレ/神の怒り』では黄金に取り憑かれた男を、本作ではオペラに取り憑かれた男を描いているが、その狂気がハンパではない。

本作のフィツカラルドの夢は、アマゾンの奥地にオペラハウスを建てること。首狩り族のいるような所にそんなもの建てて、一体誰か観に来るの?なんて思うのだが、フィツカラルドは至って真剣。

それだけでもう十分正気とは思えないのだが(余程子供っぽいのか、バカかのどちらかだろう)、フィツカラルドは着々と準備を整え、ついにアマゾン川へと乗り出す。

そのクライマックスが汽船の山越え!原住民の助けを借りてジャングルを切り開き、滑車を使って汽船を山向こうの支流へと移動させるのだ(何という発想!)。そのシーンが圧巻のど迫力。巨大な汽船が山を登る、そのありえない光景に唖然とする。と同時に監督の執念にも驚嘆し、呆れ返る。

その監督の執念が乗り移ったかのようなクラウス・キンスキーの演技がまた凄い。彼のいかつい顔はかなりのインパクトがあって、アマゾンの大自然の迫力にも負けていない(とてもナスターシャ・キンスキーの父上とは思えない)。ただし、今回のフィツカラルドは幼児性の抜けないお茶目な面もある役柄。全編に陽気な狂気を漂わせて、なかなか幅のある俳優だと感心する。

こんな狂気の夢に取り憑かれた男に付き合ってくれる女はまずいないと思うのだが、彼の幼児性に惹かれたのか、恋人の娼館の主は、彼を心から信頼し、愛し、応援する。さすが太っ腹姐さん、クラウディア・カルディナーレ!という感じだ。

そんな恋人への愛とオペラ愛が溢れるラストは、何ともお洒落で気持ちがいい。同時に、彼の挑戦がまだ終わらないことも匂わせて、そのアホさ?加減に思わずニヤリとしてしまう。