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🔵映画「素晴らしき遺産」感想*知的でヒネリの効いたユーモアを十分堪能できる作品*(1951イギリス)レビュー4.1点

オードリー・ヘプバーン 素晴らしき遺産 HBX-302 [DVD]

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【イギリスの正統派コメディ】

ブレイク前のオードリー・ヘプバーンが煙草売りの少女役で登場するイギリスの正統派コメディ。

彼女の登場はわすが2カット、5秒ほどで、看板に偽りあり!と言いたいところだが(タイトルは『オードリー・ヘップバーンの素晴らしき遺産』となっている)、作品の出来がいいので、まあ、納得。

【あらすじ】

イタズラ好きの大富豪ヘンリーは、4人の相続人に自分の遺産を相続するための条件を記した遺書を遺して死ぬ。

その条件とは……

高慢で我儘な妹アグネスには、1ヶ月間のメイド、善良な犯罪小説家の従弟デニストンには、28日間の服役、気弱な銀行員の四従弟ハーバートには、意地悪な頭取への復讐、詐欺師まがいの遊び人の従弟サイモンには、最初に口をきいた女性との結婚。

彼らは、巨額の遺産を手に入れるために、四苦八苦しながら難題をクリアしていくが……。

【感想・レビュー】 

『ローマの休日』の2年前に撮られた映画。ヘプバーンの出番が一瞬なのは残念だが、たとえ一瞬であっても、彼女の魅力は異彩を放っている。デビュー当時の彼女の可憐さは、この翌年に撮られた『初恋』を観ても、別格だと思う。

……ヘプバーンのことはさておいて、この作品、いかにもイギリス映画らしく、お洒落で上品で気の利いたコメディ。やはりイギリス人のユーモアセンスは洗練されているなあとつくづく感心する。

4人の相続人のキャラクターと相続の条件とのミスマッチ感が絶妙で笑えるし、彼らの悪戦苦闘ぶりも滑稽で面白い。特に、欲に目が眩んだ彼らが次第にお金よりも大切なものに気付いていくさまは、不思議な温かみとペーソスがあって、並のヒューマンドラマよりよほど共感できる出来。

4人の俳優の演技も見事。いかにもコメディのツボを知り尽くしている感があって、当時のイギリス俳優陣のレベルの高さが窺える。また、ヘプバーン以外の女優陣の美しさも印象的で、これはちょっと得した気分。

フランク・キャプラ作品をイギリス流にアレンジした感じのこの作品、ドラマとして観ると、予定調和的で楽天的過ぎるかもしれないが、これはあくまでコメディ。楽しんでナンボと思って観ると、知的でヒネリの効いたユーモアを十分堪能できる作品だと思う。