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🔵映画「あの頃、君を追いかけた」感想*全ての大人たちを懐かしい“あの頃”へと誘うレクイエムのような一作*(2011台湾)レビュー4.3点

あの頃、君を追いかけた[Blu-ray]

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【瑞々しくて、切なくて、ほろ苦い若き日の記憶】

1994年から2005年にわたる優等生女子と劣等生男子の初恋の軌跡を描くビタースイートな青春映画。ベタな設定とやや品のない下ネタが難点だが、その難点を補って余りある映画的感動がある。

“青春”の一瞬の煌きを鮮やかに切り取って、全ての大人たちを懐かしい“あの頃”へと誘うレクイエムのような一作。

【あらすじ】

台湾中西部の高校に通うコートンは、いつも悪友たちとつるんで、悪ふざけばかり。

そんなコートンたちに業を煮やした担任教師は、彼らのお目付役として、クラス一の優等生でアイドル的存在のチアイーを指名する。

初めはことあるごとに対立していた二人だが、ある日、教科書を忘れて困っていたチアイーをコートンが助けたことをきっかけに、二人の仲は急速に深まっていく……。

【感想・レビュー】

この映画のキャッチコピーは、『青春は恥と後悔と初恋で作られる』。思わず、上手い!と唸ってしまう。男子の青春のエッセンスが凝縮された名コピーだと思う。

描かれるのは、10代の男の子の恥ずかしくて情けない生態?と一途な初恋。「若葉のころ/2015台湾」が女性向けの映画なら、これは(大人の)男性向けの映画と言えるかもしれない。

男の子のアホな生態は観るに耐えないところもあるが、これも等身大と言えば等身大か……。ただ、コートンとチアイーの初々しく不器用な恋は、大人が観ても(と言うか、大人だからこそ?)グッと胸に迫るものがある。

ただ単純に“好き”という想いだけでチアイーを追いかけ、チアイーの気持ちも先のことも何も考えられないコートンの一途な純情(手も握れない!その幼稚さが何とももどかしい)。そして、コートンより少し先に大人になってしまうチアイーの心の揺れと胸の痛み……。そんな二人に自分の“あの頃”の記憶を重ね合わせて、胸が疼くような切なさを感じる大人も少なくないのではないだろうか。

そして、感動のラスト10分。まさに泣き笑いの名シークエンス。ほろ苦いなあ……。

主演の二人の瑞々しい演技が強く印象に残る映画。ミシェル・チェン(QTモバイルCMの川口春奈風?)の泣き顔とポニーテールは問答無用に可愛らしい(でも、撮影当時28歳?だったとか……びっくり!)。

ホウ・シャオセン監督の作品を観て以来、台湾映画はお気に入りジャンルの一つ。勘違いかもしれないが、どことなくノスタルジックな台湾人の感性やメンタリティは、日本人と相通じるものがあるような気がして、シンパシーを感じてしまう(「SLAM DUNK」や「バガボンド」に熱狂するコートンたちの姿が、何だかとても微笑ましい)。次は、エドワード・ヤンの「ヤンヤン 夏の想い出」にチャレンジしてみたい。