【心に残る青春映画】10作品紹介・レビュー
今回は、青春映画のお気に入りを10本紹介します。
こう並べてみると、「大切な何かを失いながら少しずつ大人になっていく」という「喪失感」を描いた作品が好みのようです。
この外、古いものでは、「青春群像」、「ビッグ・ウェンズデー」、「ラスト・ショー」、「ジェレミー」など、最近のものでは、「プールサイド・デイズ」、「サニー〜永遠の仲間たち」、「若葉のころ」なども好きです。
どこかに似たような好みの方がおられたら嬉しいのですが……。
【心に残る青春映画】10作品紹介・レビュー
№10
🔵子猫をお願い(2001韓国)
《等身大女子の甘くない青春》
高校を卒業し、別々の道を歩き出した仲良し5人組のその後の葛藤や挫折、新たな出発を描いた群像劇。
女性監督ならではの瑞々しい視点で、女子同士の甘くない友情やそれぞれの微妙な距離感をヴィヴィッドに描く。
独特の閉塞感が漂う中、5人組のまとめ役のペ・ドゥナの透明感が印象的。
№9
🔵プラハ!(2001チェコスロバキア)
《カラフル!ポップ!キュート!》
60年代の“プラハの春”からソ連によるチェコ侵攻までのプラハを舞台に、恋に憧れる女子高生たちとアメリカ亡命を夢見る脱走兵たちとの恋の行方を描いた青春ミュージカル。
カラフルなレトロ・ファッションとポップな音楽が魅力のキュートな映画だが、歴史が動き出す後半は結構シリアスで考えさせられる。
自由を謳歌した60年代への郷愁を籠めた作品。
№8
🔵欲望の翼/(1990香港)
《屈折した想い》
幼い頃に母親と生き別れ、心の空白を埋められないプレイボーイの青年と、彼を取り巻く男女の愛憎を描いた群像劇。
退廃的で刹那的な空気感、気取り澄ました語り口、斬新でスタイリッシュな映像。これがウォン・カーウァイの世界観。
青年のひりひりした心の渇きから生まれる傲慢で放埒な衝動は、若さにつきまとう“危うさ”そのもの。
№7
🔵きっと忘れない/(1994アメリカ)
《金言・名言の宝庫》
バーバードの優等生と自由奔放なホームレスとの心の交流を描く。
人生への深い洞察に満ちたホームレスの言葉と、ハーバードの仲間たちの熱い友情が心に沁みる。
好きな女を誘えない優等生をホームレスが叱咤する……『羽ばたけ。自由に愛せ。破滅を恐れず……人生の1時間の充足を味わえ……女を失望させる男は負け犬より悪い』。そのとおりです!
№6
🔵シング・ストリート/(2016アイルランド)
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《音楽が奏でる青春》
1985年当時の大不況下のダブリンを舞台に、純な若者の音楽にかける情熱や年上の女性への憧れを爽やかに描く。
若者のひたむきさや無鉄砲さがときにユーモラスに、ときにほろ苦く描かれて、笑えるし、泣ける。彼らの宝物のような日々を鮮やかに彩る80年代のUKロックのサウンドも観る者の気分を高揚させる。
監督の音楽センスに脱帽の一作。
№5
🔵小さな恋のメロディ/(1971イギリス)
《子どもたちのレジスタンス》
若い頃、リアルタイムで観た映画。大人の世界への漠然とした反抗心を刺激されたのだろうか、トロッコの行き着く先も考えず、ただ気分が昂ぶったことを思い出す。
少年少女の淡い恋を描いたこの映画、実は、理不尽な大人に対する子どもたちのレジスタンスが肝なのかもしれない。
それにしても、トレーシー・ハイドの愛らしさは、いつまでたっても色褪せない。
№4
🔵冒険者たち/(1967フランス)
《青春のレクイエム》
夢を追いかける男2人と女1人の愛と友情を描く。
パリの大空、海に眠る財宝、要塞島。ロマン溢れるシチュエーションに憧れ、男女3人の固い絆に胸を熱くする。ジョアンナ・シムカスの儚く物憂げな魅力は、一瞬の煌きを放って永遠に観る者の胸に刻まれる。
ラストのリノ・ベンチュラの慟哭は、さながら青春との訣別を悼むレクイエムのようだ。
№3
🔵スタンド・バイ・ミー/(1986アメリカ)
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《大人になるということ》
仲良し4人組の少年たちの2日間の冒険の旅を描く。B.E.キングの歌とともに、これはもう殿堂入りの映画だろう。
彼らは死体を見たことで一回り成長する。しかし同時に何か大切なものを喪う。たぶん“何かを得る度に何かを喪う”そのプロセスが“大人になる”ということなのだろう。
誰の記憶にもあるその喪失感がこの映画を永遠のものにしている。
№2
🔵恋恋風塵/(1987台湾)
《文学の香気漂う名作》
鉱山のある山村で育った幼馴染の一組の男女の淡い恋と別れを描く。
昭和の原風景を彷彿とさせるノスタルジックな世界観が切なくも懐かしい。青年の不器用な想いと移ろいゆく少女の想い……時の流れが二人の仲を変えてゆく。しかし、青年の傷心もやがて時の流れが癒してくれるのだろう。
初恋の痛みを静謐な眼差しで捉えた、青春映画の傑作。
№1
🔵きっと、うまくいく/(2009インド)
《青春映画の金字塔》
コメントは前稿の【心に残る珠玉の映画】№5を参照してください。
単純に“一番好き”と言える青春映画です。