お気楽CINEMA&BOOK天国♪

お気楽CINEMA&BOOK天国♪

金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

🔴本「砕け散るところを見せてあげる」/竹宮ゆゆこ(新潮文庫)は、いじめや虐待がテーマのヘビーな作品だった。レビュー3.8点

砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)

砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)

鮮烈でインパクトのあるタイトルに惹かれて購入。ライトノベル系のミステリーかと思いきや、ライトなのは会話だけで、内容は「いじめ」「虐待」をモチーフにした意外とヘビーな作品。

【感想・レビュー】

物語の構造が少々ややこしいため、話の筋が分かりにくい。その主な原因は物語の語り手の主体がころころ入れ替わるところにあるのだが、始めにその点が整理されていればそれほど難解という訳ではない。ただ、物語の後半は、作者の思い入れが強すぎるためか、話が錯綜し、頻繁に登場する暗喩(メタファー)の分かりくさもあって、読者の方では何か置いてけぼりを食ったよう気がしないでもない。

もう少しシンプルな書き方もあったのではという気はするが、決して失敗作という訳でもない。ノリのよい言葉で今時の高校生をビビットに描いているし、妙にツボにはまるユーモアで物語の重苦しい雰囲気を和らげているあたり、なかなか力のある作家だと思う。

ライトノベルと本格ミステリーの中間に位置する作品で、「サクサク読めるが歯応えはある」的な小説を探している人にオススメ。