お気楽CINEMA&BOOK天国♪

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金はないけど暇はあるお気楽年金生活者による映画と本の紹介ブログ

🔵映画「赤い風船」は、映画を超えた詩のような美しい作品(1956フランス)レビュー4.5点

赤い風船/白い馬【デジタルニューマスター】2枚組初回限定生産スーベニア・ボックス [DVD]

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わずか35分の短編なのに、なんて素敵な映画だろう!

少年と風船の友情を限りなく優しい眼差しで描いた、なんとも美しい映画。……いや映画というより一篇の詩か。

【あらすじ】

朝の登校中、幼い少年は街灯の支柱に捕らえられていた大きな赤い風船を助け出す。風船は少年を好きになったのか、ふわふわ漂いながら少年の傍を離れない。少年が走り出すと、風船も跡を追いかける。少年がバスに乗っても大丈夫。風船は少年の元にふわりと舞い降りる。雨が降り出したら道行く大人たちが少年と風船を傘に入れてくれる。みんなとても親切だ。でも少年と風船の仲を裂こうとする悪童たちが彼らの跡を付けまわす。そしてとうとう、少年と風船は、悪童たちに捕らえられてしまう……。

【感想・レビュー】

ファンタジーとしてのストーリー性も高く、愉快で夢のあるシーンだらけだが、一番のお気に入りは、なんといっても、少年が持った赤い風船と、舗道ですれ違った少女が持つ青い風船が仲良しになるシーン(2つの風船が路上でくっつき合ったりなんかして、とても癒やされる)。

複雑に入り組んだパリの古い街並み、雨に濡れた石畳、舗道にせり出した様々な出店、そして青空一面に漂う無数のカラフルな風船……それらの映像の全てが懐かしく、美しい。

少年パスカル・ラモリスは本作の監督アルベール・ラモリスの実子。本作は、息子への贈り物だったのか、それとも幼い頃の自分への捧げ物だったのか。

おとうさんとおかあさんとこどもたち、みんなで一緒に観てほしい、超オススメの1本!

参考までに一言。

台湾の名匠ホウ・シャオシェン監督(傑作「恋恋風塵」の監督)が本作へのオマージュとして撮った「レッド・バルーン」(2007フランス)という映画がありますが、こちらはパスするのが賢明かと思います。本作の足元にも及ばない凡作です。