🔴本「ジゴロとジゴレット~モーム傑作選」/サマセット・モーム(新潮文庫)は、文豪モームの傑作短編集!レビュー4.4点
技巧の痕を残さない平易な文体で人間そのものを過不足なく描き切った文豪モームの傑作短編集。
【感想・レビュー】
小説の良し悪しはひとえに「人間がどれだけ(深く)描けているか」にかかっていると思うが、その意味でモームの人物造形は、完璧と言ってよいのではないか。これだけ端的な言葉でこれだけ人間の実相に迫れる短編作家は、他にモーパッサンかチェーホフくらいのものだろう。
どの短編も絶妙にブレンドされたスパイス(機知、ユーモア、アイロニー等)が効いていて味わい深く、再読、精読に耐えうるものばかり。モームは、一定の年齢を重ねて初めてその良さが分かる作家だと思う。
自分の人生に何かが足りないと感じている人や日々の倦怠に飽々している人にオススメ。